カッパ・ツーの第四期がはじまったよ!

小説投稿と通過,新人賞受賞作

『バイバイ、サンタクロース』を読んだなら、こちらも読んでは?と薦められて『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』も拝読。

ということで、感想はべつに上げるとして(上げました。記事へのリンクは本記事の中盤くらいにも貼っています)、今回はカッパ・ツーについてまとめることにしました。

たぶん公募に慣れた方にとっては、おどろくべき異色の賞です。

賞の概要

第1回で阿津川辰海を排出した賞です。主催は本格大好きな光文社で、開催は不定期

実はワンもあった

KAPPA-ONEが前身となります。
カッパ・ツーで選考委員を務める石持浅海さんと東川篤哉は、KAPPA-ONEの第一期の出身です(このときは一般的な公募ではなく、本格推理に掲載されたことのあるアマチュア作家から選出されたとのこと)。

特徴

・開催が不定期
・〆切が延びることもある
・カッパ・ツーは本格しか取らない
・受賞決定まで時間がかかる(〆切が延びるとなおさらで、応募時期によっては応募から受賞まで2年くらいかかる人もいると思われます)

改めてみてもヤバいと思います(笑)

カッパツーの通過率の高さ

まず驚くべきは通過率の高さでしょう。ちなみに、第一期から最新の第三期まではこんな感じです。他の公募になれた方は桁が間違っているのでは?と驚くような応募総数と通過率です。

第一期第二期第三期
応募総数11159
一次選考通過333
受賞作112

第三期に注目

とくに、第三期の2/9はすごい。受賞率が22.2%!!!

ちなみに、第三期では最終3作に絞られたあと、さらに2作が受賞候補となり、面接があったらしいです。なお、面接をすることになった最終選考の流れがnoteで読めます。

石持さんが推したのが『あなたに聞いてもらいたい七つの殺人』、東川さんが推したのが『バイバイ、サンタクロース』です。

なお、作品を読んでこの選評を読むと、先生方の仰っていることがよくわかります。改稿されているはずですが、やはり根本的な部分は残っていて、かなり納得の選評でした。

ちなみに、自分が読んだ感想を簡潔に書くと次の通りです。

『バイバイ、サンタクロース』→無茶はあるが推理の数とこれしかないという人物設計で押し切られる
『あなたに聞いてもらいたい七つの殺人』→推理の完成度が高くまとまって見えたがよく見るとかなり無茶してるなと思った

カッパ・ツーのこれまで受賞作

第一期 阿津川辰海『名探偵は嘘をつかない』

阿津川さんを有名にしたのは、講談社タイガから出た『紅蓮館の殺人』でしょう。

なお、自分の知っている本格ファンの友人は、「カッパ・ツーは阿津川さんを排出しただけで設立された意味がある」といっていました。おおむね同じような感想を持っている人はいるのでは?

第二期 犬飼ねこそぎ『密室は御手の中』

第三期 信国遥『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』/真門浩平『バイバイ、サンタクロース』

カッパ・ツーの難しさ

本数だけみると、数百~千を超える応募作が集まる賞へ応募しているかたたちは「もしかしたらいけるかも」と思うかもしれません。が、カッパ・ツーにはカッパ・ツーの難しさがあります。

まず「本格小説でなくてはならない」ことです。この時点で数は減ります。

さらに、結果が出るまでに時間がかかりすぎることです。待てますか?

鮎川系の本格というより、メフィスト系の本格が受賞さいている印象です。現在、メフィストの応募総数は増加の一途で、その一部は本格小説だと思われます。メフィストで落ちたものをカッパ・ツーに投げる人は多いと思うんですが、意外にも〆切時点で本数が集まらずに〆切延長を繰り返している賞なのです。

たぶん、時間がかかるから待てないのではないかと考えています。

あと、不定期なので賞を知らない人もいそうですね。

そんなわけで、第四期の宣伝

ということで、第三期の受賞作を2作とも読んだし、本格小説の作家が出てきてくれるのは嬉しいので、本サイトで取りあげてみることにしました。

第四期は〆切延長がないことを祈ってます!

ここ最近はメフィストも本格を出していないので、ガチ推理系の新人作家を見出してくれるのは光文社(最近は、新潮も力を文庫のほうで入れている気がしている)だなという気がしています。タイガや講談社は新人よりも埋もれた作家を見出す感じになっているように思います。

第四期の〆切:2025年1月末

詳細は↓からご確認ください。

まとめ

自分はわりとなんでも読むほうですが、本格小説はとくに好きです。自分もこのジャンルが書けるなら(残念ながらトリックとかが浮かばないので)、公募を諦めず細々と応募していたかもしれません。

ともかくも、頑張れカッパ・ツー応援しています。