起承転結を具体的に説明。だけど小説には必ずしも必要ない!
作文や小論文を書くときに、「起承転結が大事!」と教わりました。小説でも起承転結が大事と言われますが、「作文や小論文の起承転結」と「小説の起承転結」はまったく別物と考えたほうがいいのではと思います。
起承転結とは?
小説等の起承転結は次のようなものが一般的かと思います。が、諸説あるのでこれが正解とは言えません。
起 物語の説明、主人公の状況など。物語のはじまり。
承 イベントのはじまりから中盤まで
転 イベントが結果へと収束していく
結 イベントの結果
起承転結の具体例
ミステリ
起:目が覚めたら密室で、隣に不倫相手の遺体があった。
承:自分の疑いを晴らすため、事件現場から逃亡し、捜査をはじめる。
転:刑事につかまるも、自分が犯人ではないことを信じてもらえた。刑事と手を組む。
結:犯人がわかり、事件が解決する。
異世界転移
起:魔法のある異世界へ転移したら、チート能力があった。
承:平民だったのでチートを使って魔物を討伐し成り上がる。
転:魔物が多くなったのは隣国のせいで、隣国が魔物を使って攻めてきた。
結:戦いに勝利し、さらに成り上がる。
竹取物語(かぐや姫)
起:竹からお姫様が生まれる
承:貴族(帝)からの求婚を無理難題をふっかけて断る
転:出生の秘密が明かされて、月の迎えと戦闘
結:月に帰る
起承転結は役に立たない
上の具体例からわかる通り、多くの物語は起承転結である程度説明ができます。しかし、起承転結だけで話を組み立てられるほど簡単ではありません。
自分が作った作品(またはプロット)に起承転結があるかを確認することは有効だと思います。逆にいえば、その程度にしか使えないと考えています。短編ならまだしも、長編にはほぼ使えないのではないかと。この構成では読者の興味を引き続けるのはかなり難しいと思います。
起承転結自体に問題がある。
もともと漢詩の構成として考えられたものなので、「物語や論文の構成として有効なのか?」という指摘もあります。
個人的には小説が必ずしも起承転結を持つ必要はないと考えています。もちろん、起承転結に沿っていることが悪いわけではありません。
ただ、長編小説で「転」が1つでいいとはとても思えないです。それでは読者の興味が引けません。また、起承転結の転は、全体のおよそ半ばほどで出てくることになります。遅すぎると思いませんか? 転からの話のほうが圧倒的に面白くなります。ならばそれをもっと早く出すべきです。
上のミステリの例では、半ばよりも早く刑事と共闘したほうがよいと思います。半ばで共闘するくらいなら、最後まで逃げ切り、1人で解決したほうが面白いかも知れません。
異世界転移でも同じです。成り上がりエピソードはもう少しコンパクトにして、隣国との戦いをもっとはやくから仕込んだほうがいいと思います。
竹取物語でも、最初は貴族の求婚でうまく追い払えていたものが、帝の求婚によって物語が動き出します。竹取物語の転は「帝の求婚から、月へ帰らなければならないことが発覚し、月からの迎えがきて戦闘」とすべきかもしれません。そうすると、この転の分量がやたらと大きくなってしまいますが、竹取物語は名作です。
つまり、物語は起承転結に沿えば面白くなるとは限らないのです。
まとめ
起承転結が悪いとはいいませんが、必ずしもこれに沿う必要性はありません。
エンタメやライトノベルならば、三幕構成や三幕八場構成を基本にするのもありだと思います。純文学はもっと自由に、勢いよく描いてもよいと考えます。
あまりこだわらずにいってください!