再応募のなにが悪い!? いや、悪くない!
※記事タイトル変更しました!
「使いまわしってダメなんですか?」
「一度落ちたってことは、どこに出しても無駄ってことなんですかね?」
という質問をいただきました! まあ、私、出版社とは縁もゆかりもない人なので、「ごめんなさい、知りません……」としかいいようがないんだけれど。個人的に考えたことをまとめておきたいと思います。
本当に出版業界とはご縁がないので、これはある本好きの戯言くらいに受け取ってください。
使いまわしてなにが悪いの?
使いまわしてもいいに決まっている
私の本音はこれです。マジで、「使いまわしてなにが悪い。いいに決まっている」と思っています。
もちろん、二重投稿はアウトです! どちらの出版社が権利を持つかという明確なトラブルが発生するため、これは絶対にやってはいけないことです。
が、落ちた作品を他に使ってなにが悪いの?
実際、1次落ち→受賞というケースはいくつもあります。まして、拾い上げからヒット作になるケースも多々あります。
一次落ち→受賞
まずはライトノベル、ライト文芸
ノベル大賞受賞作の『ひきこもりを家から出す方法』
猫田佐文さん-2020年3月3日
twitter/猫田佐文さん@nekotasamon
まじめな話をすると、ひきこもりを家から出す方法は元々ラノベの賞向けに書いた作品です
それをK談社の賞に送って一次落ちしたのが三年前
仕方なくカクヨムに置いたもののブックマーク一桁
そして聞いたこともなかった賞に送って本になった
小説の投稿なんて運ゲーなんで落ちても気にするだけムダです
続きまして、編集者のサトさんのこのツイート!
GA文庫は選考に関してTwitterでつぶやいてくれます。毎回の風物詩で、創作界隈が盛り上がりますよね。端から見ていても楽しいです! GAさん、もっとやれー!
ちなみに、もし自分が今、ラノベの編集者になれるとしたら、GA文庫さんがいいです。売れ筋をきっちり掴んだ上で、「それ当てるかー」って作品でヒットを出すし。おもしろい(すごい)編集部だなと思っています。
サト(GA文庫編集部)さん-2017年10月2日
twitter/サト(GA文庫編集部)さん
・落ちた作品を他の賞に応募 いいのでは。
そこからのデビュー&アニメ化も実例ありあり
・落ちた作品を同じ賞に応募
ん~。あんまり推奨しないかも。 再度、応募で受賞はあまり聞かないような(知らないだけかもですが)。
電撃の86の記事は以下の通りです。
これで落ちたら諦めろというのは、なかなか無理筋じゃないかと……。
文芸系にいってみようー!
正直、文芸系での再応募は否定的に書く方が多い……。選評などで、「使い回しと分かったからそういう目で見た」的な書かれ方をしているんですが、だったら言いたい。
使い回し(再応募)を受賞させていながら、なんで「使い回しを送ってくるな」と苦言を呈すのかと。
ぱっと見、矛盾していると思うんですよね(とくに某このミス……全然、某じゃない。このミスは再応募に関する明確な指針がwebページに出ています。ご確認を!)。ようは「おもしろかったら正義」、「そうでなかったら労力増えて面倒なんだ!」とはっきり言えばいいのにと思います(※注 個人的主観です)。それを改稿していたらOKとか、問題点がなおっていたからとか発言するので、投稿者は混乱するんです(少なくとも私の知人は混乱しています)。
そもそも、選考には主観が入るはずなので、「運」の要素は絶対にあるはずです。
池上冬樹さん-2020年7月12日
twitter/池上冬樹さん-2020年7月12日
▼文学賞の下読み(一次または二次選考)・予選委員(最終候補作を選ぶ)をしていると「運」を考える。最終候補作が決まった後に問題(二重投稿など)が発覚してボツに。代わりに一作上にあげるのだが、こんなものをあげても選考委員は推さないだろうと思ったものが受賞作となったりする。過去に二回。
ただ、選評を読む限り、ライトノベル系よりも文芸のほうが使い回しには厳しい印象を持っていました。それを決定づけたのが、池上さんのこのツイートです。
池上冬樹さん-2020年7月12日
twitter/池上冬樹さん-2020年7月12日
▼電子書籍を賞の候補から外すのは当然だが、某新人賞の2次選考に上がった(最終候補ではない)という理由で落とす賞も増えてきた。かつては問題なかったが、誰もが検索できる時代では、A賞の2次通過作品がB賞の候補になっていると格好が悪い。編集部が完全な新作を求める傾向にもあるけれど。
ばれたときに「姑息な……」と思われてもいいのなら、タイトルの変更(できればペンネームも)をしたほうがいいのではと思う。
新作を書ける人をというのはわかりますが……。へんなところでプライドをもつより、「A賞、これを落とすなんてバカじゃねえの?」という作品を選んでほしい。
ちなみに、ポプラ社小説賞の『ニキ』は、小説すばる新人賞(31回)の最終候補作です。応募時のタイトルは『Bとの邂逅』。
私の周囲では、「すばる、なんでニキを落としたの?」という声が。
少なくとも、ポプラ社の格好が悪いということはない。よく出版したという意見のほうが多いです。読者は選びますが、刺さる人には刺さるの典型的な作品かと。落とした集英社が悪いというより、これを選んだポプラがグッジョブだったのではと思います。
追記☆一般文芸は厳しいのかな。とくに最終候補作
▼文学賞の下読みをしているのだが、編集者から連絡があり、何番のXは過去の某文学賞の最終候補作なのでボツにしたいと。作品名と筆名を変えているので検索にひっかからなかったが、下読み委員が「これ読んだことがある」ということで判明。作品名と筆名を変えて送ってよこすなんてタチが悪いよ。
twitter/池上冬樹さん-2021年9月4日
よそで上がっていたから落としますが実はよくわかりません。新作をかけなくちゃダメというのはわかるんです。普通に「ここがダメだから落とした」なら納得なんですけどね……。選考には運もあるだろうし、一般文芸では、二重投稿で取ることも、選考落ち→受賞もあったので。逆に、二賞で最終まで上がるってすごいことじゃないのかなぁと思うんですが。
いろいろ動きがあったので、9/13にちょっとまとめてみました。
ただ、ほとんどの作品はそのレベルにない
ようは、落とされるべくして落とされた作品のほうが、圧倒的に多いと思います。
一次は運だといわれますが、私自身は必ずしもそうだとは思いません。「たまたまレベルの高い作品が多いグループだった」を除いたら、やはりできていないから落とされた作品のほうが多いと思います。だいたい次のような要因かなと。
①小説の体をなしていない的なもの。
- 文章がダメすぎる。
- ストーリーに無理がありすぎる。
- 設定に無理がありすぎる。
- なにが書きたかったのかよくわからない。
②小説の体はなしているけれど……
- 単純に話が面白くない。
- 既存作品の枠から出ていない(+αがない)。
- 使い古されたネタ過ぎて、新しさがない。
- 読者が想定できない。
- 「文庫裏のあらすじ」「帯」を想定したとき、読者の興味が引けない。
この辺はプロットとかネタ(アイディア)の問題で、おそらく受賞しても売れないと判断されているのだと思います。この場合、一次落ち→最終手前くらいまでは不思議に思いませんが、運良く出版されても二作目が厳しいだろうなという気はしています。
番外1:作者がなにか勘違いをしているケース。
ライトノベルで一次落ちして、「自分のは文芸だから理解されないんだよ」的な言い訳をしている方がいてですね……だったらなぜライトノベルに出したのかと問いたい。ラノベは文芸よりも下と思っているんでしょうが、意味分からない……(ラノベにはラノベの難しさがあるんだって)。ラノベと文芸はぜんぜん別のカテゴリなんです。
あと、本人は「できる主人公」を書いているんですが、その主人公がしょぼすぎて「……」とか。俺が思う最強のリアリティ!とか、 俺が思う最強のできる主人公!で終わってるため、客観的に見ると「前提条件(設定)」が穴だらけ過ぎて目眩が。
もっと、周囲の苦言に耳を傾けましょう!(……まあ、苦言を呈す客観性のある人はそっとフェードアウトするんだろうけど)
番外2:一次は確かに運かもしれないけどね……
一次は運だから……事実だとは思うんだけど、この台詞はちょっと。一次は運かもしれません。が、それはごく少数の作品に限った話で、やはり多くの場合はなんらかの欠点を抱えています。たとえ、一次落ち→二次通過だったとしてもです。冷静に、自分の作品を読み返してみましょう。
まとめ
読者からすると「おもしろいものが正義!」なんです。再応募だろうが、新作だろうが、とにかくおもしろい作品を求めます!
私は、受賞作品の多くは既存作と比べても面白いものが多いと思っています(言葉をなくすほど圧倒的な作品が多いわけでもないけれど)。
作家志望の皆さんは、受賞作のダメな部分が目につくかとおもいますが(まったく評価できないものも実際あるけど)、まずはプラスポイントをチェックしましょう! おそらく、その作品が受賞したのは「プラス」があったからです。
また、私は再応募、使い回しは別段ダメだとは思っていません。ただ、否定的な方が業界には多いようですので、再応募、使い回しは個人の責任でお願いいします!