『高校生直木賞』を広めたい!
高校生直木賞ってご存じですか?
フランスの「ゴンクール賞」の候補作から、高校生が一番を選ぶ活動「高校生ゴンクール賞」を模範として創設されました。日本では、「直木賞」(正しくは「直木三十五賞」)の候補作から、高校生が一番を選ぶ試みです。
高校生直木賞の仕組み
まず参加校が決定されます。
クラス、クラブ、図書委員会、有志など、グループの性質は問わず、複数名で討議を行えることが条件です。申し込みは学校を通して行います。なんと、本の購入費用と全国大会(代表者が集まり受賞作を決める大会)への旅費は運営さん持ちです!
参加校が決定すると、予選会を経て最終候補5~6作品を決定します。
「直木賞」は上半期と下半期の二回で、1度に5~6作品が選ばれます。高校生直木賞は年に1回なので、直近の「直木賞」候補作(およそ10~12作ほど)から選ぶため、だいたい半分になりますね。
この後、各校で討議を重ね、各校の代表者が一同に会し(全国大会)、その年の「高校生直木賞」を決定します。
とてもおもしろい取り組みですね!
直木賞受賞作と高校生直木賞を比較してみる!
第6回『熱帯』(文藝春秋)森見登美彦
高校生直木賞 候補作一覧
『熱帯』森見登美彦 文藝春秋
『破滅の王』 上田早夕里 双葉社
『ファーストラヴ』 島本理生 文藝春秋
『未来』 湊かなえ 双葉社
『ベルリンは晴れているか』 深緑野分 筑摩書房
直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成30年/2018年下半期(第160回) | 平成30年/2018年上半期(第159回) |
| ☆真藤順丈『宝島』講談社 今村翔吾『童の神』角川春樹事務所 垣根涼介『信長の原理』KADOKAWA刊 深緑野分『ベルリンは晴れているか』筑摩書房 森見登美彦『熱帯』文藝春秋 |
☆島本理生 『ファーストラヴ』 文藝春秋 上田早夕里『破滅の王』双葉社 木下昌輝『宇喜多の楽土』文藝春秋 窪美澄『じっと手を見る』幻冬舎 本城雅人『傍流の記者』新潮社 湊かなえ『未来』双葉社 |
第5回『くちなし』(文藝春秋)彩瀬まる
高校生直木賞 候補作一覧
『くちなし』 彩瀬まる 文藝春秋
『銀河鉄道の父』 門井慶喜 講談社
『月の満ち欠け』 佐藤正午 岩波書店
『火定 澤田瞳子』 PHP研究所
『あとは野となれ大和撫子』 宮内悠介 KADOKAWA
直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成29年/2017年下半期(第158回) | 平成29年/2017年上半期(第157回) |
| ☆門井慶喜『銀河鉄道の父』 講談社 彩瀬まる『くちなし』文藝春秋 伊吹有喜『彼方の友へ』実業之日本社 澤田瞳子『火定』PHP研究所 藤崎彩織『ふたご』文藝春秋 |
☆佐藤正午『月の満ち欠け』岩波書店 木下昌輝『敵の名は、宮本武蔵』KADOKAWA 佐藤巖太郎『会津執権の栄誉』文藝春秋 宮内悠介『あとは野となれ大和撫子』KADOKAWA 柚木麻子『BUTTER』新潮社 |
第4回『また、桜の国で』(祥伝社) 須賀しのぶ
高校生直木賞 候補作一覧
『また、桜の国で』 須賀しのぶ 祥伝社
『十二人の死にたい子どもたち』 冲方丁 文藝春秋
『蜜蜂と遠雷』 恩田陸 幻冬舎
『暗幕のゲルニカ』 原田マハ 新潮社
『家康、江戸を建てる』 門井慶喜 祥伝社
>直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成28年/2016年下半期(第156回) | 平成28年/2016年上半期(第155回) |
| ☆恩田陸『蜜蜂と遠雷』幻冬舎 冲方丁『十二人の死にたい子どもたち』文藝春秋 垣根涼介『室町無頼』新潮社 須賀しのぶ『また、桜の国で』祥伝社 森見登美彦『夜行』小学館 |
☆荻原浩『海の見える理髪店』集英社 伊東潤『天下人の茶』文藝春秋 門井慶喜『家康、江戸を建てる』祥伝社 原田マハ『暗幕のゲルニカ』新潮社 湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』光文社 米澤穂信『真実の10メートル手前』東京創元社 |
第3回『ナイルパーチの女子会』(文藝春秋)柚木麻子
高校生直木賞 候補作一覧
『ナイルパーチの女子会』 柚木麻子 文藝春秋
『東京帝大叡古教授』 門井慶喜 小学館
『永い言い訳』 西川美和 文藝春秋
『戦場のコックたち』 深緑野分 東京創元社
『羊と鋼の森』 宮下奈都 文藝春秋
直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成27年/2015年下半期(第154回) | 平成27年/2015年上半期(第153回) |
| ☆青山文平『つまをめとらば』文藝春秋 梶よう子『ヨイ豊』講談社 深緑野分『戦場のコックたち』東京創元社 宮下奈都『羊と鋼の森』文藝春秋 柚月裕子『孤狼の血』KADOKAWA |
☆東山彰良『流』講談社 門井慶喜『東京帝大叡古教授』小学館 澤田瞳子『若冲』文藝春秋 西川美和『永い言い訳』文藝春秋 馳星周『アンタッチャブル』毎日新聞出版 柚木麻子『ナイルパーチの女子会』文藝春秋 |
第2回『宇喜多の捨て嫁』(文藝春秋)木下昌輝
高校生直木賞 候補作一覧
『宇喜多の捨て嫁』 木下昌輝 文藝春秋
『サラバ!(上)(下)』 西加奈子 小学館
『悟浄出立』 万城目学 新潮社
『本屋さんのダイアナ』 柚木麻子 新潮社
『満願』 米澤穂信 新潮社
直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成26年/2014年下半期(第152回) | 平成26年/2014年上半期(第151回) |
| ☆西加奈子『サラバ!』(上)(下)小学館 青山文平『鬼はもとより』徳間書店 大島真寿美『あなたの本当の人生は』文藝春秋 木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』文藝春秋 万城目学『悟浄出立』新潮社 |
☆黒川博行『破門』KADOKAWA 伊吹有喜『ミッドナイト・バス』文藝春秋 千早茜『男ともだち』文藝春秋 貫井徳郎『私に似た人』朝日新聞出版 柚木麻子『本屋さんのダイアナ』新潮社 米澤穂信『満願』新潮社 |
第1回『巨鯨の海』(光文社)伊東潤
高校生直木賞 候補作一覧
『巨鯨の海』 伊東潤 光文社
『ジヴェルニーの食卓』 原田マハ 集英社
『望郷』 湊かなえ 文藝春秋
『恋歌』 朝井まかて 講談社
『王になろうとした男』 伊東潤 文藝春秋
『あとかた』 千早茜 新潮社
直木賞受賞作・候補(☆が受賞作)
| 平成25年/2013年下半期(第150回) | 平成25年/2013年上半期(第149回) |
| ☆朝井まかて『恋歌』講談社 ☆姫野カオルコ『昭和の犬』幻冬舎 伊東潤『王になろうとした男』文藝春秋 千早茜『あとかた』新潮社 万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』文藝春秋 柚木麻子『伊藤くんA to E』幻冬舎 |
☆桜木紫乃『ホテルローヤル』集英社 伊東潤『巨鯨の海』光文社 恩田陸『夜の底は柔らかな幻』(上)(下)文藝春秋 原田マハ『ジヴェルニーの食卓』集英社 湊かなえ『望郷』文藝春秋 宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』早川書房 |
おわりに
比較をして見えたこと
直木賞受賞作が、一度も選ばれていない! 高校生という年代、権威への反抗か、それとも高校生が選んだからか。どちらかいまだに迷っています。ただ、いろんなことをひっくるめて、高校生が選んでいるんだなぁと思いました。
第4回で、『蜜蜂と遠雷』が落ち、『また、桜の国で』が選ばれ、その選評を見たときに、「なるほど」と納得できました。この回は、この二冊が最後まで残ったようです。受賞が『また、桜の国で』になったのは、『蜂蜜と遠雷』は前向きで誰が読んでも面白いが、『また、桜の国で』は難しくて高校生には読みにくいが印象が強い(おそらく考えさせられる)からという感じです。『また、桜の国で』はナチス・ドイツが侵攻をはじめる時代(大戦時代)、ワルシャワの在ポーランド日本大使館に着任した外交書記生の話で、確かに重い話ですね。
たぶん、本家の直木賞だったら「本」として見ると思うんですよね。テーマは重要だけれど、その色は気にしない。戦時中の話で、差別などが取り上げられており、考えさせられるからというのが評価のメインにはならないと思うんです。それでいったら、『蜜蜂と遠雷』にもテーマはちゃんとあってしっかり描き込まれています。『天才』、『成長』、『人との関係性』など、普遍的でたくさんの小説に取り上げられてきた深いテーマです。本家では、どんなテーマであろうと描ききっているかは重視しても、テーマ性が決定打になることはあまりないと思うのです(よっぽど目新しいテーマなら別かもしれませんが)。
本家とは違う目線で選ばれているところに、この賞の価値を感じます。
ちなみに、第6回は『ベルリンは晴れているか』と『熱帯』に注目が集まったようですが、なんで『宝島』が候補にさえ入っていなかったんだろう。熱量の凄い小説だと思うんですが。候補作6冊でいいじゃないか!
ちなみに、『ベルリンは晴れているか』が落ちた理由は、(おそらく)ミステリ仕立てにする必要性があったのかという点のような。その点、『熱帯』の特徴的な構成や独創性が評価され、『熱帯』を紐解く「楽団」が全国大会の討論と結びつき受賞となったように感じました。個人的には、高校生の『宝島』と『熱帯』の感想戦を聞きたかった。『ベルリンは晴れているか』も含めて3作とも傑作揃いだとは思いますが、ベルリンさんは本格の方なので欠点が上げやすいからな。比較したらその欠点ゆえに落とされやすいとも思うわけです。その点、『宝島』に高校生がどんな感想を持つか、興味があります。
本家が「なんでそうなったの!?」って選考をすることもありますし、そのためにも必要な『本屋大賞』であり、『高校生直木賞』なのかもしれません。文藝オンラインに大会の様子や参加生徒さんの感想が掲載されています。
もっと大きく取り上げられていい取り組みじゃないかなと。




