年末恒例ミステリランキング 2年連続4冠 アンソニー・ホロヴィッツとは?

2020年5月31日

毎年、年末にミステリランキング(国内・海外)が発表されています。年末ミステリランキングといえば、この4つ。

宝島社「このミステリーがすごい!」(このミス)
文藝春秋「週刊文春 ミステリーベスト10」(文春ミス)
原書房「本格ミステリ・ベスト10」(本ミス)
早川書房「ミステリが読みたい」(早ミス)

今回は海外ランキングから、アンソニー・ホロヴィッツさんをご紹介。
2年連続、4社すべてのミステリランキング1位(4冠)という、とんでもない作家さんです!!

ミステリランキング4冠とは?

4社すべてのミステリランキングで1位を取ることを指します。実は、国内ランキングで4冠を達成した作品はまだありません。海外ランキングでもアンソニー・ホロヴィッツさんが初めてで、そして連続受賞(2018年、2019年※)の快挙となりました。
※ランキング本の発売年 このミスは2019年のベストを「このミステリーがすごい! 2020年版」で出している。

ファンの方はすでにご存じかと思いますが、年末ミステリランキング発表の前には、多くの読書家さんがブログなどで「このミス予想ランキング」を発表してくださいます。それを拝見するのがひそかな楽しみなのですが、なかなか当てるのは難しいようです(いつか私もやりたいなぁ)。

今年は、ブログでアンソニー・ホロヴィッツの作品を海外ランキングNo1と予想するサイトさんを拝見。それほど圧倒的だったのでしょう! 私は海外翻訳をほとんど読まないのでとても気になっていました。

とんでもない作家、アンソニー・ホロヴィッツさんについてまとめていきたいと思います。

ちなみに、国内版(3冠作家さん)については、こちらでまとめています。

アンソニー・ホロヴィッツさんとは?

アンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz)さんは、イギリスの小説家です。脚本や児童文学も手掛ける、非常にマルチな作家さんです。

1979年 『The Sinister Secret of Frederick K Bower』 でデビュー 子供向けのユーモアな冒険小説

 

児童文学を刊行していく。また、1980年代には脚本を書きはじめた。
1989年 『Groosham Grange』(1988年)で、ランカシャー・ブック・オブ・ザ・イヤー受賞(児童文学の賞)
この時期は、「ダイヤモンド・ブラザーズ」シリーズが有名
2000年以降 「女王陛下の少年スパイ! アレックス」シリーズが人気となる。
この頃から一般向けの作品も書くようになる。
2011年 『絹の家』(The House of Silk )刊行 アーサー・コナン・ドイル財団公認で、「シャーロック・ホームズ」シリーズ続編として刊行される。
2014年 大英帝国勲章
2015年  『007 逆襲のトリガー』(Trigger Mortis)刊行 イアン・フレミング財団公認で「ジェームズ・ボンド」シリーズの新作。

2018年 ミステリランキング4冠『カササギ殺人事件』

『カササギ殺人事件』(2018年刊行 訳:山田蘭さん)
 原題『Magpie Murders』(2016)

第1位『このミステリーがすごい! 2019年版』海外編
第1位〈週刊文春〉2018ミステリーベスト10 海外部門
第1位『2019本格ミステリ・ベスト10』海外篇
第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇

年末ミステリ以外にも!
第1位 2019年本屋大賞〈翻訳小説部門〉
第1位 第10回翻訳ミステリー大賞
第1位 第7回翻訳ミステリー読者賞

1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントの推理は──。アガサ・クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ!

正直にいうと、上・下巻の翻訳ものを読むのはつらかったです。横文字の名前が覚えられず、翻訳もの特有の言葉の固さ(のようなもの)を感じ、「上・下巻は長いなぁ」と放り投げそうになりながらも読み進めました。だがしかし!

結論からいうとおもしろかった。絶対に読者を選ぶ作風だとは思いますが。

アガサ・クリスティが好きな人!
古典的なミステリが好きな人!
固めの本格小説が好きな人!

ぜひ、読んでください。ちなみに、下巻に入った瞬間「?」となり、作者の仕掛けにひっかかり、謎解きで「おお!」仰天。社会派ミステリとか、サスペンスが好きな人には向かないかもしれませんが、はまる人ははまると思います。

2019年 ミステリランキング4冠『メインテーマは殺人』

『メインテーマは殺人』(2019年刊行 訳:山田蘭さん)
 原題『The Word is Murder』(おそらく2017年)

第1位『このミステリーがすごい! 2020年版』海外編
第1位〈週刊文春〉2019ミステリーベスト10 海外部門
第1位『2020本格ミステリ・ベスト10』海外篇
第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 海外篇

自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は、自分が殺されると知っていたのか? 作家のわたし、ホロヴィッツはドラマの脚本執筆で知りあった元刑事ホーソーンから、この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかと誘われる……。自らをワトスン役に配した、謎解きの魅力全開の犯人当てミステリ! 7冠制覇の『カササギ殺人事件』に匹敵する傑作!

こっちはまだ読んでいないのですが、評価高いですよね!
ワトスン役が作者とのことで、楽しみ。やはり古き良きミステリ小説なのだと思います。

まとめ

2018年は、国内3冠『屍人荘の殺人』で、海外4冠『カササギ殺人事件』なので、「本格好き」な人には当たり年だったのかもしれません。どちらも「本格小説を読みなれた人」「ミステリと名の付くものが好きな人」ほど驚愕する作品だったと思います。

2019年は、国内2冠『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼さん)が話題に。これも本格作品ですね! 海外4冠『メインテーマは殺人』も本格ものなので、やはり本格ミステリを好んでいる人がたくさんいるんだなと嬉しくなります。

本格ミステリは大好物なので、今後も良質のミステリが出ると嬉しいです。