十二国記が好きなら、これも! おすすめファンタジー!

2020年1月11日

2019年10月、18年ぶりの新作『白銀の墟 玄の月』(小野不由美さん)が発売となりました。
戴極国の動乱が収まらない状態で終わっていた『黄昏の岸 暁の天』の続編ということで、とにかく待ちに待った新作でした。待っていてよかった!
2020年にも、短編集が発売される予定となっています。楽しみですね!

『十二国記』シリーズのようなファンタジーを読みたい!
そんな本読みさんにオススメの本をご紹介します。

著:小野 不由美さん 18年ぶりの十二国記シリーズ新作です。10月に1、2巻、11月に3、4巻が発売されました!

大人気の中華風ファンタジー

『宮廷神官物語』シリーズ(全11巻) 榎田ユウリさん

聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠は、王命を受け、次の大神官を決めるために必要な「奇蹟の少年」を探している。彼が持つ「慧眼(えげん)」は、人の心の善悪を見抜く力があるという。
しかし候補となったのは、山奥育ちのやんちゃな少年、天青。
「この子にそんな力が?」と疑いつつ、天青と、彼を守る屈強な青年・曹鉄と共に、鶏冠は王都への帰還を目指すが……。

主人公は少年です。中華風ファンタジーというと、後宮やそれに似た設定が出てくるものが多いので、まずはそれ以外から……。恋愛もの以外を読みたい本読みさんにお薦めします。山育ちの小猿な天青の成長譚です。世界観も作り込まれていますし、キャラクターも魅力的です。
ビーンズ文庫で刊行されていましたが、現在、角川文庫からも刊行されています。

『後宮の烏』シリーズ(2018年~) 白川紺子さん

厳にして壮大な中華幻想譚、開幕――!
後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をしない特別な妃・烏妃。その姿を見た者は、老婆であると言う者もいれば、少女だったと言う者もいた。彼女は不思議な術を使い、呪殺から失せ物さがしまで、何でも引き受けてくれるという――。時の皇帝・高峻は、ある依頼のため烏妃の元を訪れる。この巡り合わせが、歴史を覆す禁忌になると知らずに。

表紙絵が印象的な本作、短編集なので読みやすいです。1巻で充分完結しているので、まずは1冊お試しください。
とても人気のある後宮小説ですが、「烏妃」の設定が魅力的です。
後宮のドロドロな恋愛小説ではありません。怪奇を解くミステリ要素も楽しめますし、惹かれ合っているのに禁忌である二人(烏妃と皇帝)の関係に引き込まれます。
2019年現在、3巻まで発売されていますが、すべて期待を裏切りません。売れたのでシリーズとして本腰を入れることになったのか、巻を重ねるごとに世界観が積み上げられていっています。

『彩雲国物語』シリーズ(本編全18巻) 雪乃紗衣さん

紅秀麗は彩雲国きっての名門・紅家のお嬢様。ところが世渡り下手な父のせいで家計は常に火の車。おかげで深窓の姫君とは思えないほどのしっかり者に成長した秀麗のもとへ、ある日とんでもなく高額な賃仕事の話が舞い込んだ。提示された報酬に目がくらみ、一も二もなく飛びついた秀麗だったが、その仕事内容はといえば、即位間もない昏君・紫劉輝の教育係として、からっぽの後宮に貴妃の身分で入内しろというものだった…。

シリーズ累計650万部突破。
少女向けライトノベルなので、十二国記の中でも、『図南の翼』や『風の万里 黎明の空』を好むかたにおすすめです。
とても人気がありますし、おもしろいのですが、ライトノベルを読まないかたにはおすすめできません。良くも悪くも少女向けライトノベルです。
ビーンズ文庫から発売されていましたが、現在は角川文庫からも刊行されています。

金椛国春秋シリーズ(2016年~) 篠原悠希さん

大陸の強国、金椛帝国。名門・星家の御曹司、遊圭はひとり呆然と立ち尽くしていた。皇帝崩御に伴い、叔母が皇后に選ばれ……。「皇帝に外戚なし」の法のもとに、星家は一族すべて殉死を命じられたのだ。
一人逃げ延びた遊圭は、町娘の明々に出会う。明々の後宮への出仕が決まり、再びの絶望的状況に、明々はからりと言う。
「あんたも、一緒に来るといいのよ」
――かくして、少年・遊圭は女装して後宮へ出仕することに。

『金椛国春秋』シリーズも人気のあるファンタジーです。「皇帝に外戚なし」の法の設定が「なぜこれで国がやっていけると思った?」という気も。歴史上、残酷な法律や権力闘争はたくさんあったと思うので、そこはいいんです。「太子の生母は死を賜る」ならわかるのですが、一族……。
虚弱体質な遊圭が、取りつぶされた星家の復興を目指して奮闘するストーリーです。作風はライトノベルよりで読みやすく、ストーリーの展開はスピーディです。

和風ファンタジー

八咫烏シリーズ(2012~)阿部智里さん

山内で始まった世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が! 失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙……。果たして若宮に選ばれるのは誰?

『烏に単は似合わない』からはじまる作品です。第19回松本清張賞の受賞作。異色のファンタジーです。推理ものの要素が強く、普通のファンタジーとちょっと違います。しかも、ラストがすっきりしない作風なので、かなり読者を選ぶかと。ただ、合う人はめちゃくちゃはまる作品です。
個人的には、巻が進むほどにおもしろくなっていくと感じています。そしてはまっていきます。ものすごく味のある作家さんです。
2019年第1部完結

勾玉シリーズ(全3巻) 荻原規子さん

村娘狭也の平和な日々は祭りの晩に破られた。「鬼」が来て手渡した「水の乙女の勾玉」…憧れの「輝」の宮で待っていた絶望…そして神殿で縛められて夢を見ていた輝の末子稚羽矢との出会いが、狭也を不思議な運命へと導く…。神々が地上を歩いていた古代日本、光と闇がせめぎあう戦乱の世を舞台に織りあげられた、話題のファンタジー。

いわずと知れた和風神話ファンタジー。児童小説ですが、大人も楽しめます。ものすごくおもしろいのです。ただ、『十二国記』みたいかといわれるとかなり違います。良質な和風ファンタジーとしておすすめです。

その他のファンタジー

『デルフィニア戦記』(本編全18巻) 茅田砂胡さん

男は剣を揮っていた。黒髪は乱れ日に灼けた逞しい長身のあちこちに返り血が飛んでいる。孤立無援の男が今まさに凶刃に倒れようとしたその時、助太刀を申し出たのは十二、三と見える少年であった……。二人の孤独な戦士の邂逅が、一国を、そして大陸全土の運命を変えていく――。

西洋中世風ファンタジー。主人公はとある世界からの異世界転移者で、しかも性別が変わっています(元の世界では少年、この世界では少女)。助太刀を申し出たのが主人公の少女で、戦士としての腕前もすごければ、見た目も美少女。クーデーターで国を追われた国王ウィルの相棒となって、王座を奪還するといったストーリーです。
ファンも多く、本作を読んだあとなにを読むかで上がってくるのが、『十二国記』シリーズや『アルスラーン戦記』です。『アルスラーン戦記』よりもライトよりですね。

守り人シリーズ(本編全10巻)上橋菜穂子さん

腕ききの女用心棒・バルサはある日、川におちた新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムを助ける。チャグムは、その身に得体の知れない”おそろしいモノ”を宿したため、「威信に傷がつく」ことをおそれる父、帝によって暗殺されそうになっていたのだ。
チャグムの母・二ノ妃から、チャグムを守るよう依頼を受けたバルサは、幼ななじみの薬草師・タンダの元へ身を寄せる。そして、バルサとチャグムは、タンダとその師である呪術師のトロガイから驚くべきことを告げられるのだった ── チャグムに宿ったのは、異界の水の精霊の「卵」であること、孵化まで守らないと大干ばつがおこること、そして、異界の魔物がその「卵」をねらってやってくること ── 。

児童文学ですが、大人にも人気があります。全10巻(+外伝1巻、短編集2巻)ですが、話としては各話1~3巻(「神の守り人」が2巻、「天と地の守り人」が3巻)で完結しています。1巻から読んでいかないと登場人物の関係がわかりにくいですが。
ライトノベルのエッセンスはありません。『風の海 迷宮の岸』や『東の海神 西の滄海』が好きな方には合うように思います。『十二国記』ファンには、とくに第4巻の『虚空の旅人』以降がおすすめです。
シリーズ累計400万部突破。

煌夜祭(1巻完結)多崎礼さん

十八諸島の世界を巡り、世界各地で話を集め、他の土地へと伝え歩く。それが我ら語り部の生業。冬至の夜、我らは島主の館に集い、夜を通じて話をする。それが煌夜祭―年に一度の語り部の祭。お話ししよう。夜空を焦がす煌夜祭の炎壇でも照らすことの出来ない、真の闇に隠された恐ろしい魔物の物語を…廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった。

1巻完結がもったいないというほど、世界観が作り込まれています
『大人のための童話』といった趣です。語り部の語る短編作品でありながら、すべてが繋がっていく連作です。個人的には長編を読んだときの満足感がありました。
十二国記に似ているわけではありませんが、世界観の作り込み方とその使い方は秀逸。1巻完結なので手を出しやすいと思います。

『オーリエラントの魔道師』シリーズ(2011年~) 乾石智子さん

右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。女を殺して魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジストに目の前で育ての親を殺されたことで、彼の人生は一変する。宿敵を滅ぼすべく、カリュドウは魔法ならざる魔法を操る〈夜の写本師〉としての修業をつむ。〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ

『十二国記』というより、海外のファンタジー作品という雰囲気です。『ゲド戦記』などを思い浮かべる人もいらっしゃるんじゃないかと。「写本師」という設定がものすごく魅力的です。
まずは1巻の『夜の写本師』を。前半は今ひとつ世界観に入り込めなかったのですが、後半は一気読みしました。1巻でいったん物語は閉じられているので、まずはおためしください。