東野圭吾さん原作の映画 おすすめ5選

2019年12月17日

東野圭吾さんの小説が原作の映画は、2019年現在、20作品です。
が、すべてがおもしろいかというと……。
『白夜行』は映画の尺が短すぎて原作の良さがまったく出ていませんでした。主演は堀北真希さん、相手役に高良健吾さんで、ところどころはっとするシーンもあったのですが。149分で描くのは無理

そこで、映画としてもよかった作品ベスト5をご紹介します。

祈りの幕が下りる時(2018年 主演:阿部寛)

東京都葛飾区小菅のアパートで女性の絞殺死体が発見される。殺害現場となったアパートの住人も行方不明になっていた。やがて捜査線上に浮かびあがる美しき舞台演出家・浅居博美(松嶋菜々子)。しかし彼女には確かなアリバイがあり、捜査は進展しない。松宮脩平(溝端淳平)は捜査を進めるうちに、現場の遺留品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることを発見する。その事実を知った加賀恭一郎(阿部寛)は激しく動揺する。それは失踪した加賀の母に繋がっていた–。

「加賀恭一郎」シリーズ。テレビドラマ化『新参者』、映画『麒麟の翼』のあとに続く本作。完結編ですが、これ1本だけ見ても問題ありません。
映画としてのできが非常によかったです。原作ファンも納得のできではないでしょうか。原作の中でも印象的なシーンが、映画ではさらに美しく、哀しく描かれています。
映画「砂の器」に対するオマージュといわれていますが、確かにそういう印象を持ちました。そういわれても納得の、むしろ期待をまったく裏切らない作品です。

新参者を5分でまとめて解説!

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容疑者Xの献身(2008年 主演:福山雅治)

ガリレオシリーズの映画化 第1作。

惨殺死体が発見され、新人女性刑事・内海(柴咲コウ)は先輩と事件の捜査に乗り出す。捜査を進めていくうちに、被害者の元妻の隣人である石神(堤真一)が、ガリレオこと物理学者・湯川(福山雅治)の大学時代の友人であることが判明。内海から事件の相談を受けた湯川は、石神が事件の裏にいるのではないかと推理するが……。

原作としても、映画としても傑作
ドラマ版のガリレオを見ていなくても、原作を読んでいなくても楽しめます。東野圭吾さんの映画化作品のなかでもトップクラスのできです。
とくに堤真一さんが素晴らしかった。当初は、原作の石神のイメージとはかなり違っていたので、ちょっとどうかなと思っていたのですが。今では堤さんの演じた石神しか浮かばないです。

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秘密(1999年 主演:広末涼子)

妻と娘に囲まれ、満ち足りた生活を送る杉田平介(小林薫)の生活は突然終わりを告げた。妻・直子(岸本加世子)と娘・藻奈美(広末涼子)が乗ったスキーバスが崖から転落したのだ。直子は亡くなり、藻奈美は一命を取りとめる。しかし、意識が戻った藻奈美は、妻・直子の人格を持っていた。そこから、平介と藻奈美の奇妙な夫婦生活が始まるが・・・。

広末涼子さんの演技が秀逸。とても難しい役柄だと思うのですが。
原作よりも娘の年齢設定を上げていますが、映像で見ると父と娘(中身は妻)の関係が受け入れがたい人も多いのでは。
それでも、映画としては纏まっていますし、原作の印象的なシーンもうまく配置されています。

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年 主演:山田涼介)

2012年。幼馴染の敦也(山田涼介)たち3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの 郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・ 浪矢雄治(西田敏行)に代わって返事を書く――。

原作に忠実な作品で、暖かみのあるファンタジーです。
東野圭吾さんには珍しく「いい話」である本作。映画のほうもほっこりします。
ちょっと詰め込みすぎかなとは思いますが、尺を考えると仕方がないかなとも。もしかしたら、原作を読んでいないとわかりにくい部分もあるかもしれません。

手紙(2006年 主演:山田孝之)

青年には、人目を避ける理由があった。兄・剛志(玉山鉄二)が、直貴(山田孝之)を大学にやる学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。数度にわたる引越しと転職。兄貴がいる限り、俺の人生はハズレ。そういうこと―。自暴自棄になる直貴を、深い絶望の底から救ったのは由美子(沢尻エリカ)の存在だった。しかし、その幸せが再び脅かされるようになった時、直貴は決意する。…塀の中から届き続ける、この「手紙」という鎖を断ち切ってしまう。

犯罪加害者の家族を描いた作品。テーマは重いですが、とても考えさせられるし、ぼろぼろ泣いてしまいます。
泣かせるためにできた構成、キャラクタ造形ではあるんですが、映画としてうまくまとめられている良作です。
映画が公開された頃、監督が困ったこととして、どうやっても>沢尻エリカが綺麗過ぎることを上げたのを思い出しました。確かに、沢尻さんは地味な格好をしているのにすごく目を惹きます。

東野圭吾さん原作 映画化作品一覧

「ガリレオ」シリーズ
『容疑者Xの献身』(2008年 主演:福山雅治)
『真夏の方程式』(2013 主演:福山雅治)

「加賀恭一郎」シリーズ
『麒麟の翼』(2012年 主演:阿部寛)
『祈りの幕が下りる時』(2018年 主演:阿部寛)

リアルなミステリ・サスペンス
『g@me.』(2003年 主演:藤木直人)
『レイクサイド マーダーケース』(2005年 主演:役所広司)
『さまよう刃』(2009年 主演:寺尾聰)
『白夜行』(2011年 主演:堀北真希)
『夜明けの街で』(2011年 主演:岸谷五朗)
『天空の蜂』(2015年9月12日 主演:江口洋介)
『疾風ロンド』(2016年 主演:阿部寛)
『マスカレード・ホテル』(2019年 主演:木村拓哉)

SF的ミステリ・サスペンス
『プラチナデータ』(2013年 主演:二宮和也)
『変身』(2005年 主演:玉木宏)
『ラプラスの魔女』(2018年 主演:櫻井翔)
『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年 主演:玉森裕太)

ミステリ色薄めの作品
『秘密』(1999年 主演:広末涼子)
『手紙』(2006年 主演:山田孝之)
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017年 主演:山田涼介)
『人魚の眠る家』(2018年 主演:篠原涼子)

実は、ベスト5が選びきれなかった

ベスト3まではあっさり決まりました。『容疑者Xの献身』、『手紙』、『祈りの幕が下りる時』は映画としてもとてもよかったと思うのです。うまく映像化されていましたし、役者さんも素晴らしかった。原作を裏切らないできだったと思います。
『秘密』は、東野圭吾さん初映画化作品ですし、賛否はありますが良作だと思うのでチョイス。
問題はラスト1作。悩みに悩んで、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を選びました。
決して悪くはないのですが、上記の4作品に比べるとちょっと落ちる印象です。ただ、暖かみのあるよい作品ですので、これを選びました。

他の候補は……。
『白夜行』:詰め込みすぎなのに、重要なシーンが抜けている。よくわからない映画に……。
『真夏の方程式』:子どもとペットボトルロケットを飛ばすシーンが印象的。
よい映画だったけれど、『容疑者Xの献身』より格段に落ちる(と思う)。
『麒麟の翼』:悪くないけど、テレビドラマ的です。
また、『祈りの幕が下りる時』のほうが単純によかった。
『プラチナデータ』:印象的なシーンは多いが、原作からかなりストーリーをいじっている。
どちらかといえば改悪。原作と比較するという意味ではおすすめします。