これだけは読みたい! 東野圭吾さん 作家歴と作品ベスト5

2020年1月11日

東野圭吾作品 おすすめ5選とその理由
ドラマ、映画化されている作品も多く、名前を知らない人はほとんどいないような超人気作家です。多作の作家さんで、本格推理、社会派、ファンタジー、SFなど様々な作品を書かれています。作品数は100冊近です。どれから読むべきか迷うかたも多いのでは。おすすめしたい作品はたくさんありますが、東野さんの作家歴からして、これだけは落とせない!と思う5冊を紹介します。

独断と偏見による作家さん紹介

デビュー作は『放課後』。1985年に第31回江戸川乱歩賞を受賞しています。実は、このあと10年くらいはヒット作に恵まれていません。要するに、売れなかったのです。知る人ぞ知るミステリ作家でした。
1996年に『名探偵の掟』でミステリファンの注目を集めます。ミステリへのアンチテーゼ的なユーモア小説です。しかしブレイクはまだ先。
1998年『秘密』によって、大ブレイク。ミステリ色は薄いですが、本作でミステリ以外の一般の読者へ名前が売れました。
2006年には『容疑者Xの献身』で直木賞を受賞。押しも押されぬ大作家へ。

経歴を年表にまとめてみましょう!

1985年 『放課後』 第31回江戸川乱歩賞受賞
トリック重視の作品、意外な結末の作品など、本格推理の約束事を守った作品が多い。
1990年頃からトリック重視の作風から変化が起こる。誰が、なぜ事件を起こしたかなど、以前よりも「人」について描きはじめた印象。
※1986年『卒業―雪月花殺人ゲーム』
※1990年『仮面山荘殺人事件』
1996年 『名探偵の掟』
本格推理の約束事へのアンチテーゼ。以後、大きく作風が変化していく。
※1996年『どちらかが彼女を殺した』
1998年 『秘密』 第52回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞(1999年)
大ブレイク。ミステリの読者だけでなく、一般の読者に広く注目される。
1999年 『白夜行』
ミステリ色が薄くなり、事件に「人」がどう関わり、どう変化していくかなどを描きはじめる。本格から社会派小説の書き手へと変化。
2005年 『容疑者Xの献身』 第134回直木三十五賞受賞(2006年)
ミステリランキング三冠(文春ミス、このミス、本ミス)。ガリレオシリーズの第3作。社会派作品が多くなってきた2000年以降だが、小説のためのトリックをしっかり入れてきた本作。
※『マスカレード・ホテル』
2012年 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 第7回中央公論文芸賞受賞
『パラレルワールド・ラブストーリー』や『秘密』など、ファンタジックなSFネタも多い作家さんですが、定期的にそういう作風の作品を出している。

以降、作風が安定する。社会派小説でありながら、そこそこのミステリネタをしっかりいれてくる。過去のように驚く作品はないが、どれもそれなりに面白い。

これだけは読みたい! オススメ5選

東野圭吾さんの作家人生において、分岐点となったような作品を集めました。デビュー作も大事だと思いますが、今回は選外で。

白夜行(1999年刊)

「文春ミステ リーベスト10」で1位。
『秘密』でブレイクした翌年に出版されました。ミステリファンと小説ファンを唸らせた一作。
1973年、大阪にある廃墟で男が殺されます。事件は迷宮入りしますが、「被害者の息子」と「容疑者の娘」を追う一人の刑事。二人の周囲で、不穏な事件がちらつく。
構成が素晴らしく、ちらちらと尻尾を見せては遠ざかる事件の真相。言葉で書かずに行間で読ませる人間模模様。本作で東野圭吾作品への印象が一気に変わりました。

本作にハマったら『幻夜』もお薦めします。

どちらかが彼女を殺した(1996年刊)

どちらかが彼女を殺した

犯人が明かされないミステリ小説。最初に読んだときは、目が点になりました。
面白いですし、犯人もだいたいわかります。わからなければ読み終わったあとにネットで探せばよいので是非。
本作は加賀恭一郎シリーズの第3作です。そして、第5作の『私が彼を殺した』も同じ作風となっています。
東野圭吾さんを語る上では、このどちらかは外してはいけない一作かと。

容疑者Xの献身(2005年刊)

本格か否かの論争を巻き起こしたミステリファンなら絶対に読むべき一作。
ガリレオシリーズの第3作。最初から犯人がわかっている倒叙ミステリなのに、ラストまで読んだときに驚きます緻密に計算された東 野圭吾さんらしいミステリだと思います。
ミステリランキング三冠(文春ミス、このミス、本ミス)。ちなみに2019年現在、三冠ホルダーは米澤穂信さん(『王とサーカス』と『満願』文春ミス、このミス、早ミス)と今村昌弘さん(『屍人荘の殺人』文春ミス、このミス、本ミス)のみ。

仮面山荘殺人事件(1990年刊)

仮面山荘殺人事件

クローズドミステリです。東野圭吾さんらしい緻密な一冊。デビュー後5年以内の一作としたら、この作品を選びます。当時はトリック重視のガチガチな本格ミステリ作家という印象です。
賛否両論別れそうな作品ですが、東野さんの初期を知る上では重要な一作

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2012年刊)

ナミヤ雑貨店の奇蹟

ふわっとしたSFの作品。おそらく誰が読んでもおもしろく感じる作品。
作者にはめずらしく心温まる感動もの。
『秘密』や『トキオ』(後に『時生』と改題)など、ファンタジー系作品の集大成ともいうべき本作。

他にお薦めする本

マスカレード・ホテル(2011年刊)

刑事がホテルに潜入捜査する「お仕事」+「ミステリ」小説。かなりおもしろいです。シリーズ第2巻、第3巻と続きますが、あとになるほど落ちていくかんじがします。

卒業―雪月花殺人ゲーム(1986年刊、2009年に改題『卒業』)

加賀恭一郎シリーズの第1巻。古き良き本格推理小説です。デビュー作よりもこちらがお薦め。警察官になる前、大学生の加賀が主人公です。
ちなみに、刊行は1986年ですが、2013年に文庫で100万部突破を達成。