作家さんが発売日に買ってというのはどうして?
Twitterなんかで、マンガ家さんや小説家さんが、「発売日に本を買ってください!」「できれば本屋で買ってください!」的な発言をしている理由をご存じですか?
これにはPOSデータというものが関係しています。とくに重視されているのが、「PubLine(パブライン)」と「WIN(トリプルウィン)」です。
重版・続刊の判断に、出版社はPOSデータを重視している!
POSデータとは?
POSデータというのは販売データ(売上データ)です。
「Point of Sales」の頭文字で、なにも本に関係した言葉ではありません。直訳すると「販売時点」となり、レジで販売された時のデータを差します。販売の際、レジでバーコードを読み取るのと同時に、販売データが蓄積されているのです。
「PubLine(パブライン)」「WIN(ウィン)」とは?
出版界で有名なPOSデータが、紀伊國屋書店の「PubLine(パブライン)」と日販の「WIN(ウィン)」です。出版社の多くは、このデータをもとに『重版』や『ロングセラーの掘り起こし』を行っているといわれています。つまり、紀伊國屋や日販で本が動けば『重版』や『続刊』が決まりやすく、地味に売れていた本が広告を打たれて一気にメジャーになったりするのです。
ちなみに、紀伊國屋書店は「本屋業界No1」で、シェアが一割弱といわれています。実際に店頭で売れた商品のデータを蓄積したものが「PubLine(パブライン)」です。
日販というのは「取次業界No1」の会社です。取次というのは、本の「卸し」会社です。出版社が作った本は取次を通して書店へと運ばれていきます(その形態も崩れかけているという話もありますが)。本屋特有の「定価販売」と「返本制度」(売れなかったら一定期間中に戻すことができる)を支えているのが取次になります。
「WIN(ウィン)」では、「搬入部数」、「市場在庫」、「実売部数」をチェックすることができ、取引先の書店から上がってくるデータも確認できます。紙本マーケット全体を見ることができるデータです。
パブラインは1995年に始まっていて、この手のデータとしても老舗中の老舗。有料データのため(しかもお高い)、契約しなければ見ることができないのですが……それでも多くの出版社が入っています。蓄積された経験値が大きすぎるため、いまだにパブラインの影響力は大きいようです。
電子書籍やその他のPOSデータが無視されているとは思いませんが、多数の電子書籍販売店を纏めるデータ会社が出てくるまでは、おそらく「PubLine(パブライン)」「WIN(トリプルウィン)」の影響力は強いと思います。
作家さんが本屋で本を買ってというのはなぜ?
出版社はこれらPOSデータの情報を見て、『重版』や『続刊』を決めているといいます。雑誌掲載のマンガになると、雑誌での人気投票も重要なのでしょうが、ライトノベルや人気投票のないマンガはこれらの情報が重要です。
とくに、発売日から一気に動けば本屋も追加発注をし、目立つところに置いてくれます。そして本屋だけでなく、「出版社」にもその情報が上がってくるのです。
キャラ文芸やライトノベルが人気ですが、タイトルにはじめから「1巻」とあるものは少ない気がします。「売上げがよければ続刊が決定する」(Twitter上ではもうちょっと濁してある)という作家さんの悲痛な叫びをちらほら目にします。
これが、本屋で買ってくださいの真相かなと思います。本屋で買えばほぼ「WIN(トリプルウィン)」に反映されますし(※)、紀伊國屋であればなおいいですね!
(※)取次は日販とトーハンだけでシェア75%。ほとんどの書店に日販が入っています。
それ以外の真相(かもしれないもの)
「できれば予約してください」の理由
地方の小さな本屋さんまで、配本が間に合わないことがあります(簡単にいうと、初版が小さいところまで回らない)。
今は初版を少なく刷るようになりました。たとえば2000部~5000部刷ったとしても本屋の数より少ないんですよ。書店数(図書カードの端末機有り)はおよそ8800店舗といわれています。大手が2冊仕入れれば、さらに小さな書店には行き着きません。そして売り場面積の小さい書店さんは売れる本から仕入れていきます。地元作家や、地元が舞台になっているなら別ですが、知名度のない作品を積極的に入荷して売りません(というかできないのです)。
ですが、予約があれば別です。出版前から予約されていれば、頑張って入れます。
わかりやすく本が「動く」ことが重要です。好きな作家さんの本は、ぜひ予約して買ってください!
新刊が多すぎる!
いわゆる一般文芸は別として、ライトノベルやキャラ文芸は「とりあえず出してみよう!」的な作品が多すぎます。新しいレーベルが大量に作られ、似たような内容の本が並んでいます。ライトノベルは落ち着いてきましたが、キャラ文芸はさらに暴走している気さえします。少部数で元が取れるようになったせいか、お試し的に出す作品が多く1冊で消えていく作家さんも多い。そして次から次に出版される作品を、本屋は逐一チェックできないです(それほど作品が多すぎます。手が回らない)。
つまり、この1冊が売れなければ、次がない。
作家さんが、「買って!」と叫ぶのもわかります。
というか、出版社さんはもっと作家さんを育てて!
あの超有名な東野圭吾さんだって、デビューから10年くらい売れていないんだから!!!

