これだけは読みたい! 誉田哲也さんの作家歴とおすすめ作品!

2020年1月4日

ドラマ化された「姫川玲子シリーズ」や映画化された「武士道シリーズ」などで有名な作家さん。もともとはホラー作家というのはあまり知られていないかもしれません。作家デビューの切っ掛けは、「ムー伝奇ノベル大賞」(優秀賞)や「ホラーサスペンス大賞」(特別賞)を受賞したことですが、どちらの新人賞も現在はなくなっています。

162回直木賞候補になり「初ノミネート」であることに驚くほどの有名作家です。正直、大藪春彦賞や山田風太郎賞でも候補になりながら賞を逃していることにもびっくりしました。
いまだ無冠だったとは!

独断と偏見による作家さん紹介

作家名よりも作品名で有名だと思います。作者のお名前を知らなくても、作品名を挙げれば「あの作品の!」と返ってくる率は高い有名作家です。

シリーズも多く、刊行している作品の版数以上がシリーズ作品です。また、ドラマ・映画化されているのはほぼシリーズ作品。「武士道シリーズ」、「姫川玲子シリーズ」、「ジウシリーズ」、「魚住久江シリーズ」などがドラマ・映画化されています。ちなみに、「武士道シリーズ」以外の3つは警察組織に関する作品です。
作者の特徴としては、「シリーズ作品が多い」、「ドラマ・映画化作品が多い」、「推理小説(警察小説)が多い」などが上げられると思います。

押しも押されぬ人気作家です!

作家歴を年表にまとめてみましょう!

 

2002年 『ダークサイド・エンジェル紅鈴 妖の華』 第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞受賞
2003年1月 ウルフ・ノベルスより刊行。作家デビュー!
2003年 『アクセス』 第4回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞
このときの大賞が高田侑さん『裂けた瞳』。ちなみに、同賞は6回で終了しているが、五十嵐貴久(第2回大賞)、沼田まほかる(第5回大賞)、道尾秀介(第5回特別賞)などを輩出。
『アクセス』は2004年新潮社刊。
2007年 『ストロベリーナイト』(2006年) 第9回大藪春彦賞候補
実はジウシリーズのほうが先に刊行されている。『ジウI 警視庁特殊犯捜査係』(2005年)
2009年 『武士道セブンティーン』(2008年)
『ハング』(2009年・ジウシリーズ)
第24回坪田譲治文学賞候補
第12回大藪春彦賞候補
『武士道シックスティーン』(2007年)からはじまったシリーズ。16~18歳までの剣道に捧げた高校3年間を描く青春小説。2015年には『武士道ジェネレーション』刊行。正直、姫川シリーズの作家と思えないほど、ド直球の青春小説!
2010年 『武士道セブンティーン』が映画化(出演:成海璃子、北乃きい)
『ストロベリーナイト』がドラマ化(出演:竹内結子、西島秀俊)
どちらの作品も話題に。これをきっかけに誉田作品の映像化が行われるようになる。2011年にはジウシリーズが映像化。
2012年 『あなたが愛した記憶』 第3回山田風太郎賞候補
2014年 『ケモノの城』 第5回山田風太郎賞候補
2019年 『背中の蜘蛛』 第162回直木賞候補

おすすめ作品!

いつもなら5冊選ぶんですが、とりあえず3冊。というのも、ストロベリーナイトが面白ければ、姫川シリーズ・ジウシリーズなどの推理小説(警察小説)を読んでいけばよいからです。シリーズ作品が多く、人気の作家さんですので、シリーズの1冊目を試してみるのが1番だと思います。

そういう意味では、単発の作品群では推理小説以外も書かれていて多彩なのですが、わりと薄味の作品も多い気がしています。全作品を読んでいるわけではないですが、単発では『背中の蜘蛛』(推理小説)か『世界でいちばん長い写真』(青春小説)がオススメかなと思います。

『武士道シックスティーン』

宮本武蔵を心の師とする剣道エリートの香織。3歳ではじめた剣道に朝から晩まで打ち込み、負けることが大嫌いな彼女は、中学最後の大会で無名選手の早苗と対戦する。早苗に真正面からメンを決められ、負けてしまった香織。敗北の悔しさを片時も忘れられなくなってしまった。日本舞踊をやめ、中学から剣道を始めた早苗は重心を下にした柔らかな動きでみるみる成長するが、楽しさを求め勝敗には固執しない「お気楽不動心」。
相反する二人が同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。
青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。

ド直球の青春小説! シリーズ4冊ありますが、まずは3作目までは必須。一気買いをおすすめできる先品です。とにかく面白い。児童文庫化もされているほど、よくできた青春小説になります。

登場人物は、剣道エリートで全中準優勝の香織です。こちらは剣道に全てをかけています。そのためかなり普通からずれた剣道少女になります。逆に最後の大会で(全中ではない)香織を破ったのは、中学から剣道を始めた早苗。こちらは剣道を純粋に楽しんでいます。2人は同じ高校に進学します。ぶつかり合う場面もありますが、それぞれのキャラクタを交互に出し、互いの気持ちや剣道への思いが綴られていきます。

シックスティーンも充分面白いのですが、セブンティーンからが本番。早苗が福岡の強豪校(インハイ優勝候補)に転校。それぞれの場所でそれぞれの物語が綴られたあと、インターハイで再び出会う!

中学で香織を負かした相手(全中優勝)はその福岡の高校に進学しています。剣道に青春をかけた女の子たちの熱い物語です。

『ストロベリーナイト』

溜め池近くの植え込みから、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見された。警視庁捜査一課の警部補・姫川玲子は、これが単独の殺人事件で終わらないことに気づく。捜査で浮上した謎の言葉「ストロベリーナイト」が意味するものは?クセ者揃いの刑事たちとともに悪戦苦闘の末、辿り着いたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。

姫川シリーズ1作目。衝撃的な内容でした。ドラマで知ったという方も多いのではないでしょうか?
2010年に『ストロベリーナイト』がドラマ化され、姫川を竹内結子さん、菊田を西島秀俊さんが演じました。お二人があまりに印象深かったせいか、2019年にリバイバルされた『ストリベリーナイトサーガ』のほうはあまり話題にならなかったかなと思います。

ちなみに、ドラマの影響か姫川と菊田の関係(菊田が姫川に思いを寄せていることは明らかになっている)が気になる方も多いようですね。映画化された『インビジブルレイン』では、刑事の姫川が暴力団組織のある男性に惹かれていくことで、かなり話題になりました。

ちなみに作品が進むと、姫川と菊田の関係にも結論が出ています(期待しない方向でお願いします→菊田が別の女性と結婚)。

『背中の蜘蛛』

東京・池袋で男の刺殺体が発見された。捜査にあたる警視庁池袋署刑事課長の本宮はある日、捜査一課長から「あること」に端を発した捜査を頼まれる。それから約半年後―。東京・新木場で爆殺傷事件が発生。再び「あること」により容疑者が浮かぶが、捜査に携わる警視庁組織犯罪対策部の植木は、その唐突な容疑者の浮上に違和感を抱く。そしてもう一人、植木と同じように腑に落ちない思いを抱える警察官がいた。捜査一課の管理官になった本宮だった…。「あること」とは何なのか? 池袋と新木場。二つの事件の真相を解き明かすとともに、今、この時代の警察捜査を濃密に描いた驚愕の警察小説。

3部構成で、1、2話は短編連作と思って読む人もいるのではないかと。『警察の目』(アンソロジー)に収録された『裏切りの日』の続編的位置づけらしいですね。3部から一気に面白くなるんですが、そこへいたるまでのリーダビリティは微妙。

1、2話は安定の誉田さん的警察小説です。3話で、情報監視社会(警察で秘密裏に情報を監視している)という社会派警察小説になります。1、2話でちょっと引っかかっていた部分がすっと繋がっていくのが爽快!

まとめ

まとめをしていて、人気作家さんのわりに直木賞候補等にあがらなかったのは、シリーズ作品のほうが有名だからかなと思いました。実際、衝撃的な作品はシリーズ作品のほうに多く、賞レースに上げにくい作家さんだったのかなと。

とにかくも、青春小説なら『武士道シックスティーン』、警察小説なら『ストリベリーナイト』という感じです。『背中の蜘蛛』は今後シリーズ化していく可能性もあるなと思っているのですが、ちょっとキャラクタが弱いかなとも思います。

162回直木賞の予想と結果はこちらから!