フットボールネーションの各巻まとめ! ここがすごい! ここがイミフ!

2020年1月21日

フットボールネーション 大武ユキさん
掲載誌:ビッグコミックスペリオール
連載開始:2010年~
既刊14巻(2019年10月30日現在)

サッカー雑誌の女性カメラマン・緒形は、ある時、アマチーム「東京クルセイド」の取材を命じられる。そのチームの選手応募要項は「脚のきれいな選手求む!」・・・ふざけたチームだと、しぶしぶ河川敷に出かけた緒形だったが、そのチームとは別に、ある才能に出会う!
河川敷を根城に、草サッカーチームの助っ人をしている“ジョーカー”こと沖千尋だった。

登場人物(東京クルセイド主要メンバー)

沖千尋(17歳→18歳) ボランチ

サッカーサイコな天才プレイヤー。学年的には高校3年生だが、高校には通っていない。身長は180㎝。
横浜Uジュニアユースに所属していたが、同ポジションの一ノ瀬(現Jリーガ、日本代表)と比較され、控えに甘んじた。ユースチームに昇格できず、父親の反対でサッカーを辞めさせられます。サッカーをするために少年院にさえ入るサッカーサイコ。少年院から出所後は自宅に帰らず、海外でサッカーを続けたいと考えていた。草サッカーの助っ人中に、東京クルセイド監督の目に留まり加入。

鳥海森之介(20歳) トップ下

沖と同じ日に東京クルセイドに加入した選手。沖のパスに反応できた「三人目」。
J2湘南ウェイブズと契約していたプロ選手だったが、ほぼサテライトにいた。怪我で解雇されたものの、サッカーを諦められず東京クルセイドのセレクションを受ける。湘南ウェイブズのジュニアユースに所属していたが、ユースに昇格できず、高校サッカーを経てプロ契約を掴んだ。湘南ウェイブズの中心選手である秋庭とは同じ年で、子どもの頃からのライバル。金髪。「チャラいのは見た目だけ」なタイプ。

野田航己 センターバック

東京クルセイドキャプテン。高校選手権ベスト4のエリートで、真面目。大学生。
沖いわく「現代的なセンターバック」。強豪の大学サッカーに所属していたが、筋力トレーニングが生理的に受け付けなかったために退部し、東京クルセイドに加入。大学の監督からも「期待していた」と言われる逸材。

知花マリオ(18歳) フォワード

日系ブラジル人。沖のパスに反応できた「二人目」。
ストリートサッカー出身で決定力がずば抜けている。一方で、フルコートのサッカー経験がないため、加入当時はオフサイドルールをまともに知らなかった。沖とはストリートサッカーで知り合った(沖がジュニアユースの頃)。賭けサッカーで沖と鳥海チームに負け、天皇杯の優勝賞金に釣られて東京クルセイドに入団。

ヴァチェスラーフ・ヴォストロチン ゴールキーパー

通称イワン。ロシア人だが、サッカーはGK大国のドイツ仕込み。
沖の少年院仲間。沖に誘われる形で東京クルセイドに加入。少年院時代、カタコトの日本語をからかわれ、いじめられていたところを、沖に助けられる。また、その経験から無口になり、GKとしてのコーチングができなかった。東京クルセイドメンバーとの交流で克服しつつある。普段は温厚だが、仲間が倒されるとキレる。

玉城 丈児 センターバック

元J2のプロサッカー選手だが、怪我で解雇。現在はトラックの運転手をしている。
マンガが始まった当初は、1対1には強いが、足下は今ひとつと評価されていた。東京クルセイドに加入して歩き方から強制された結果、動きもよくなり、怪我がなくなっている。

遊佐夕夜 ボランチ→サイドバック

元J1のプロサッカー選手。高校選手権準優勝チームのエリート。女性関係が派手。
無免許飲酒運転(未成年)がばれJ1チームを解雇された問題児。女好き。野田とは選手権で会っており、彼に誘われて東京クルセイドに加入。しかし、ボランチからサイドバックにコンバートされたことに不満を持って、練習に来なくなっていた。いろいろあったものの、結局サッカーを諦められずに戻ってくる。ボランチとしての能力も充分高かったが、人を使うタイプではなく使われるタイプであるためサイドバックへ。

どんなマンガ?

東京都社会人3部のアマチーム「東京クルセイド」が天皇杯の優勝を目指すというストーリー。サッカーサイコな沖千尋を中心に、「東京クルセイド」が快進撃を見せます。
これまでのマンガだと、「スペースを見つける」、「判断が速い」などの強みは、だいたい「才能」で片付けられてきた気がします。が、これについて(沖がチート過ぎますが)ちゃんと解説されているマンガです。

「ジャイアントキリング」や「アオアシ」のような、臨場感のあるサッカーマンガではありません! 正直、サッカーマンガとしてのおもしろさは、あんまりない気がしています。試合の描写は物足りないし、筋肉や体の使い方を説明する部分が長くてテンポもよくありません。

が、マンガで学ぶサッカーと考えれば、非常に分かりやすく、面白いです。欧州のサッカースタイルを目指し、筋肉から改造するというストーリーはたいへん意欲的で目新しいと思います。問題は、「インナーマッスル」至上主義で、「アウターマッスル」がダメという主張です。アウターマッスルをそんなに嫌わなくてもと思ってしまいます。要はバランスの問題なのですが、1巻~4巻くらいまでは、受け入れられない部分も多かったです。
個人的には、「インナーマッスル」という言葉はマスコミ用語だと思っているので、この言葉が出てくると「むむむ……」となります。このあたりに注意すれば、かなり面白いことも書いているなと思っています。

また、海外サッカーはすごくて、日本の指導者は的な指摘も多くて、とにかく日本ダメという切り口が多いんですが、「いったい何年前の話をしているんだろう……」という話も多いです(連載当時はそうだったのかもしれませんが)。

あれ? なんかダメな部分ばっかり書いていますね。とはいえ、いいところと悪いところが両方入っている特異なマンガなんですよ。

ちなみに、人気が出てきたためか、13巻からはサッカー選手の推薦文もつくようになってきました!

遠藤航選手、推薦!

「海外選手より身体能力で劣る日本人が、世界で頭を使い戦い抜く為に読まなければいけない一冊であり、僕自身も勉強になりました。」

松井大輔選手、感嘆!

「海外に出てプレーしてみて初めて肌感覚で分かる事が、日本で漫画で読めて理解出来るというこの幸せ。自分ももっと若い頃にこの一冊に出逢いたかった! 保護者や指導者の皆さんも、必読です。」

各巻のいいね! と、イミフ!

1巻 もも前ではなく、もも裏を使おう!という啓発。

主に、沖がチームに入るまでの話になります。日本のサッカー選手はもも前優位だけど、それではダメなのでもも裏を使える選手を集めているという、東京クルセイドのコンセプトについて語られます。

インナーマッスルが連呼されているのが、個人的には違和感です。が、もも裏で走ろう!という主張は、美脚とかダイエットの分野でちょっと話題になっていたもの。私も「もも裏」歩きを意識して行ったことがあり、姿勢が良くなったと言われた経験があります。

2巻 もも裏を使えるようになろう!的解説

沖がチームに入ったものの、「センターラインに穴がある!」ということで、フォワードとGKを補充する話。どちらも沖の友達で、補充までの展開に驚愕(無名の高校にいったら、たまたま中学の有名プレイヤーが集まっていたくらいのあり得なさですけど。方向性はずいぶん違いますけどね!)。

もも裏を使えるようになるための具体的な方法が書かれています。また重心についても絵で分かりやすく示してあります。が、「インナーマッスル」が大事で、「アウターマッスル」は百害的な書き方はどうにかならないんですか!(と個人的には思う。むしろ両者のバランスが大事なのでは?)

3巻 オフサイドをわかりやすく解説!

天皇杯の本トーナメントが始まります。1回戦は危なげなく勝利、そして次の相手が埼玉RSユース。この埼玉RSユースは、沖の同級生軍団です。試合の詳細は4巻へ持ち越されます。また、サイドバックの遊佐と嵯峨(スカウティング要員)も登場し、一気にキャラクターが増えました。
この巻までで、沖がなぜ少年院に行ったかが判明するのですが、「正直その設定いるのか?」と目が点に。後の巻で、少年院に入ったことで沖の体が成長した(ジュニア時代は体が小さかった)ということが描かれるのですが、それにしたって。それにしたって!!

マリオがオフサイドを分かっていないので、懇切丁寧な説明が! サッカーやっている人にとっては、今さら感があるかもしれませんが、いままで読んできたサッカーマンガの中で、一番分かりやすいと思います。

4巻 Jユース(日本のスポーツ指導)に焦点!

実はこの巻で読むのを辞めようかと思いました!!

3巻に引き続き、埼玉RSユースと戦い決着がつきます。同時に、次の対戦相手が昇格をほぼ決めているJ2チーム湘南ウェイブズに決まりました。大型サイドバックがいるため、控えサイドバックでは対応できないとの予測。遊佐は戻ってくるのか?

で、Jユースや日本のスポーツ指導について批判が描かれるのですが、これがちょっとひどい。
いつの時代のユースチームを描いているのでしょうか? ルックアップもできない、首振りも意識していないJユースなんてありえるのだろうかと、しばし困惑しました。いや、Jユースチームもピンキリなのは分かっていますが、埼玉RSユースって、浦和のこと?と呆然(実際は浦和をイメージしたわけではないらしいですが)。せめて、実在のチームを連想させるような名前はやめればよかったのにと思います。そもそも、まともなサッカー経験者がいれば、一般的な中学校・高校でもルックアップは指導されると思うんですけれど。

5巻 Jの不良債権問題と結目線

湘南ウェイブズとの対戦が中心です。その後、埼玉RSユースのメンバー(2人)と東京クルセイド選手との違いが描かれます。

やはりJユースの問題点が描かれているのですが、これについては実際のサポーターさんが「不良債権」という言葉を使っているから仕方がない。サポーターの熱い気持ちにはとても共感できて辛かったです。そのため湘南ウェイブズとの試合は躍動感が全くありませんが、楽しめました。
また、結目線や軸について説明があり、「へえー」と目から鱗でした。確かに、トップ選手の写真を見ると、顔が真っ直ぐ向いているものが多い気がします。

6巻 周辺視野と俯瞰力

J1チーム(土佐)との対戦! だけど沖がいない、という巻です。遊佐が沖との違いを痛感し、イワンが覚醒するという話になります。また、沖の家の問題や、沖のライバル一ノ瀬も再登場。

うんちく部分は周辺視野と俯瞰力。説明は分かりやすいですが、今回に限ってはどうすれば鍛えられるかまでは描かれていません。うんちく部分の少ない回です。

7巻 戦術メモリーとディフェンスの姿勢

湘南ウェイブズとのトレーニングマッチ。伸び悩んでいた秋庭へ、東京クルセイド監督からアドバイス。そして、天皇杯のJ1(愛知)との試合がはじまります。愛知SCの綿貫選手がものすごくいい味を出しています。個人的にはこのへんからストーリーも楽しめるようになりました。少年院にはいった事件がいまだ尾を引いていますが、はやく片付いてしまわないかなぁ。

戦術メモリー(判断を速く)するためには、よい試合を見なければいけないという話。判断を速くというのはよく言われることです。試合への出場経験も必要なのでしょうが、戦術理解も大事だなと思います。「よい試合を見て経験値をためる」というのも1つの方法じゃないかなと思います。
また、ディフェンスの姿勢についてうんちくがはじまっています。

8巻 ディフェンスの姿勢とゴールキーパー問題

愛知SCとの戦いにも決着がつきます。今回はちょっと沖がチート過ぎます。さて、次戦ではイワンが出場できないため、控えゴールキーパー宇田川の教育が始まります。

ディフェンス強化のための鬼ごっこ。これ、実はサッカーに限らず、他のスポーツでも取り入れられている気がします。私も高校の部活でバスケットボール部がやっているのを見ました。バスケ部でも「腰を落とせ」と言われますが、実際にそういうディフェンスをしている人は少ない気がします。ここぞというときには落とすんですけどね。スティールのために(あと気合い入れのためとか)。
サッカーはどうなんでしょう? 昔は確かに作中に出てくるような腰を落としたディフェンスをよく見た気もします。最近は、もっと動きやすい姿勢を指導する記事も増えた気がしています。
また、ゴールキーパー問題と構えについて描かれています。

9巻 ゴールキーパーが主役!

イワンによって宇田川が成長していきます。そして迎える準決勝J1アスレティック北海道戦。相手ゴールキーパーと現代的ゴールキーパーの比較が描かれます。

ゴールキーパーはまったく知らない世界だったので、とてもおもしろかったです。とくに、ゴールキーパーの動きが論理的に説明されていて面白いです。元松本山雅アカデミーのGKコーチだった方が助言しているようで、とてもロジカルで分かりやすい解説でした。

10巻 ゴールキーパー理論

準決勝J1アスレティック北海道戦が続き、PK戦へと突入。まだ結果は出ていません。

全巻に引き続き、ゴールキーパーが描かれます。この巻のメインは配球(ディストリビューション)。マンガで読むぶんには「へえ~」という感じなんですが、自分がゴールキーパーで、これをやれと言われたら、「無理」の一言しか出てこないです。ものすごく頭を使うポジションなんだなと思いました。

あと、PK戦中の心理が細かく描かれています。記者の三枝さんが統計的な確率も説明してくれるのでおもしろかったです。

9巻と10巻はほんとためになったなと思います!

11巻 浮き足と上履き問題

アスレティック北海道戦が終了しました。さて、いよいよ決勝ですが、秘密にしていた諸問題が一気に噴き出します。日本のマスコミとそれに踊らされるファンへの苦言に満ちた巻でした。

今回はマスコミ問題がメインなので、うんちくは浮き足くらいですかね。浮き足問題は実際よく言われていて、タオルトレーニング(タオルを指で引き寄せたりするトレーニング。マンガでは12巻でちょこっと出てくる)は、自分の部活でも取り入れられていました。効果があるかといわれると、(真面目な部活生ではなかったため)微妙なんですが、やはり足の指でしっかり地面を捉えるのは大事だなぁとは思っています。
また、上履き問題に関してはよく分からないのでスルー。自分の学校はスリッパじゃなかったんですけど、結構スリッパ使っている学校が多いんですね。そのことにびっくりしました。

12巻 走り方の改造!

横浜Uとの決勝戦が始まりました。

サッカーマンガとしてもちょっと楽しめるようになってきた! しかし、一ノ瀬が可愛そうでなりません。沖の最大のライバルのはずですが、ぴりっとしない展開。

玉城の体の使い方改造計画が進行しています。今回は走り方。ちなみにここで出ているイメトレ(空き缶)、これは陸上経験者から聞いたことのあるトレーニング方法でした。

13巻 フィジカルとか、眠りの重要性とか!

横浜Uとの決勝戦、相手チームのエースである間宮が活躍しはじめます。一ノ瀬もようやく覚醒。敵チームに合わせた柔軟な戦術変更を行う東京クルセイド。試合はまだ終わりません!

フィジカルモンスターである間宮についていろいろ語られます。今回は身体能力についても描かれています。身体能力と筋力が噛み合っていないとダメという話(沖が骨格を手に入れられたのは、少年院に入ったからだ!という話になって、そう来たかと笑ってしまいました)。また、眠りの重要視が語られています。

この巻では(前にもその傾向はあったのですが)、相手チームに合わせて戦術変更を行っていきます。サッカーマンガとしてもかなり面白くなってきました。相変わらず絵に動きはありませんが、綺麗で分かりやすいので、これはこれでよいかも。

14巻 呼吸の重要性!(横隔膜を使おう)

横浜Uとの決勝戦が続きます。東京クルセイドに押され気味の横浜Uが秘密兵器を投入! どんどん一ノ瀬がかわいそうになってくる巻です。

横隔膜を使おうという話なんですが……実は、整骨院に通っていたとき、これに似た呼吸法を習ったことがあるんですよね。体幹が鍛えられるということで習ったんですが、ダイエットにも効くらしいです。ちなみに吸うときも吐くときもお腹を膨らませるだけでなく、吸うときも吐くときもお腹へこませるという、二つの方法をやるように教わりました(マンガに出てきたのは膨らませたほうだけ)。自分は続かなかったのであれですが、整骨院の院長先生は「半年で体重が5キロ以上減ったよ」と喜んでいました(確かにちょっとシュッとした感じがありましたよ)。

スポーツは全身運動したほうがいいわけで、上半身も大事というのはものすごく分かる気がします。
今回は鳥海と遊佐を使っての筋肉指導。1巻~4巻みたいに「?」と思う部分もなく読めました!

個人的には、横浜Uの秘密兵器が凄すぎてびっくり。なぜ眠らせていたんだ!!というのが一番の謎だったり。

まとめ

すべてを鵜呑みにするのはまずいと思うのですが、視点としてはとても面白いです。とくにゴールキーパー理論の部分は本当におもしろかったです!(自分が全く知らないからというのもあるんでしょうが) ゴールキーパー、奥が深いですね。

「ゆる体操」を考案した高岡英夫さんが監修されているせいか、とにかく「アウターマッスル」が敵で、「ウエイトトレーニング」は不要みたいな主張が(とくに1巻~4巻)で多い点が気になります。

あとは、「インナーマッスル」の定義もマスコミ用語的で、実際からはちょっと離れている気もしています。ただ、日本でよく使われている「インナーマッスル」の意味なので、気にならない方も多いのではないかと思います。

また、日本人は……(だからダメだ的な内容)という論調が多いので、それが苦手な人にはあまり勧められません。そういう見方もあるよね!と思える人にとっては、興味深く感じるところも多いのではないかと思います。

かなりオススメの本ではあるんですが、賛否が大きいとも思います。個人的には、8巻くらいからがおもしろくなってきた印象です!