『なろう系失速で本業低迷』後の新しい方向性について

小説投稿と通過

『KADOKAWA決算での『なろう系失速で本業低迷』の記事について』をアップしたところ、「じゃあ次はKADOKAWAのライトノベル(ライト文芸含む)はどこにいくのか?」という質問を受けたので、急ぎ、新しい方向性について考えてみることにしました。

とはいっても、自分なんぞが知っているわけがない!

出版とはまったく関係のない素人の意見なので、一意見として聞いてください。

なろう系からの方向転換はKADOKAWAだけか?

まず、角川グループのなろう系偏重は凄まじいものがあったので、ここが動くだけでもかなり違います。

おそらく、一部は残しつつも、もともとなろう系以外を主力としていたレーベルに変化が出るものと考えています。

ただ、最大地盤が沈めば、おそらくなろうやカクヨムの流行り、ランキングも変動します。ただでさえAI小説によってランキングに地殻変動が起こったあとです。今後は、レーベルの動きよりもなろうやカクヨムの動きを読むのが難しくなると思います。いいかえると、角川がなろう系からの方向転換を発表したことにより、小説投稿サイト(とくに角川直結のカクヨム)でもなんらかの変化が出てくるものと考えられます。

出版社もランキング重視からの方向転換を余儀なくされるとは思います。ただWebに上がった小説をすべて読むのは不可能なので、AIを使ってめぼしいものをヒックアップした上で編集(や補佐)が読むという形に変動していく可能性もあると思います。

なお、なろう系を売るために設立したようなレーベルについては、ある程度のそのまま残るのではないかと考えています。ただ、すでに複数作家を抱えているはずなので、小説投稿サイトから新たに書籍化作家を引っ張るよりも、既存の書籍化作家にプロット提出させていいものだけ書籍化(今もそうでしょうが、プロットの通り具合が変化してくるのでは?)し、売れる作家を生み出すほうに体力を使うのではないかと思います。

ただ、おそらく力のない編集者が多くなっている現状でしょうから(バッシングと取られても構いませんが、さすがに誤字脱字、ストーリーの祖語が多すぎるんですよ。編集チェック入ってますか?といいたくなるレベル)、レーベルによってはレーベルごと沈没する可能性もなきにしも非ずだと思います。

今後の方向転換

決算の詳細記事に『「タイトルの小粒化が進行」「なろう・異世界系など実績のあるジャンルへの偏重」』という言葉がありました。

これの意味するところは、「数打ちゃ当たる」「とりあえず流行りを出しておけ」で、質よりも量を重視した薄利多売を問題視しているものと思います。

ではどうなるか?

簡単です。今後は「量よりも質」を重視するようになるはずです。

なろう・異世界テンプレートしか書けない作家は書籍が遠のき、そうでないものを書ける作家が重視されるようになるはずです。

ただ、「そうでないもの」が問題で、これを書ける作家がほんとうに少ないと思います。なろう系ではないものを書ける作家はいますが、なろう系ではなくさらにストーリー性が豊かで、独特の世界観を持っていたり、繊細な心理描写をできる作家は稀です。

しばらく迷走が続くのではないかなと思います。

今後求められるかもしれない作風(なろう系)

とはいっても、なろう系で売れているものを参考にすればいいと思います。巻数を重ねているもの、10万部を超えているもの、話題になっているものです。その上で、いわゆるなろうテンプレートの上位作品を外せばいいと思います。

また、書店や書籍のランキングとかを精査すると、やはりなろう系が出だした頃の初期作品は強いです。昨今はこれらの超大作後追いがほとんどないので(少なくとも投稿サイトのランキングに上がってこなくなっている)、再注目される可能性はあります。

なろう系ファンタジーをベースにしたもの

駄犬さん 『誰が勇者を殺したか』

勇者は魔王を倒した。同時に――帰らぬ人となった。

 魔王が倒されてから四年。平穏を手にした王国は亡き勇者を称えるべく、数々の偉業を文献に編纂する事業を立ち上げる。
 かつて仲間だった騎士・レオン、僧侶・マリア、賢者ソロンから勇者の過去と冒険話を聞き進めていく中で、全員が勇者の死の真相について言葉を濁す。
「何故、勇者は死んだのか?」
 勇者を殺したのは魔王か、それとも仲間なのか。
 王国、冒険者たちの業と情が入り混じる群像劇から目が離せないファンタジーミステリ。

出典:Amazon

普段ライトノベルを読まない層まで「おもしろい」と手に取った作品です。本書のみでも完結していますが、気になる方は続編が出ているのでぜひそちらも。

なろう系が悪いのではありません。なろう系のエッセンスを使って、どう独自性を出し、テンプレートを廃した上でリーダビリティを保ち、印象深い読後感(ラスト)にするかを教えてくれる見本になると思います。

超法規的かえるさん 『魔女と傭兵』

圧倒的ファンタジー作品。ただ、とても爽快感があるので、なろう系が好きな読者にとっても面白いと思います。

魔女――。
魔術や魔獣が失われた大陸で、唯一超常の力を振るう魔女は人々から恐怖の象徴として恐れられていた。
傭兵のジグは国が立ち上げた魔女討伐隊に参戦し、部隊が全滅する中ただ一人生き残り、魔女を追い詰めることに成功する。
しかし、討伐隊に同行した報奨金を支払うべき依頼主が死んだ今、もはや命をとる意味がないと、その刃をおろすジグ。
道理に合わない行動に戸惑う魔女――シアーシャ。だが、その不思議な感覚に、自分の思いを傭兵に吐露し願った。

「私を、誰にも追われない場所まで連れて行ってください」

ジグは、高い依頼料を条件にその吐き出された願いを承諾しつつも、そんな場所はこの大陸にはないと非情な現実を伝える。

かくして2人はまだ誰も知らない未知なる大陸へ向かうことになった。
そこに魔術も魔獣も溢れる世界が広がっていることも知らずに……。

出典:Amazon

片里鴎さん 『異世界の名探偵』

有名どころではない作品もあげておきましょう。こちらはおそらく賛否両論あるだろうと思いますが、ミステリーとなろう系の融合でおもしろいです。ただ、なろう系を読みたい人にとっては期待外れで、ミステリー好きはわりと評価が分かれる気がします。

現実では無理な設定を使えますが、ちゃんとミステリーしています。特殊設定ミステリーとして読める内容です。作者がやろうとしている方向性はよくわかるし、好きです。

異世界ファンタジーの密室殺人にロジックで挑む!

ミステリマニアである冴えない探偵だった男は
剣と魔法のファンタジーの世界に平民のヴァンとして転生する。
ずば抜けた魔術の才能、前の世界からの知識や感覚で、
「名探偵」を目指して成り上がろうとするヴァン。
しかし、その過程で不可解な殺人事件が起き――!?

出典:Amazon

現実もの路線

現実といってもファンタジーなんですが、いわゆる現代をベースにしたものです。

ただ、この路線はなろうよりもカクヨムですよね。そして、カクヨムに大量の現代ファンタジー、ラブコメが上がっている現状を見ると、ランキングが重視されそうなカテゴリーだと思っています。

なにせ、萌えられるか、刺さるかなので、このカテゴリーはテンプレを外す云々は関係ないです。ただ、新人賞受賞作ですが『千歳くんはラムネ瓶のなか』のように、テンプレをことごとく外して大売れした作品もあります。おそらく、出版社に見つかりやすいのはこちらでしょう。

なろう系発ということで、2025のこのラノ大賞に入っていた有名どころを例としてあげておきます。

佐伯さんさん 『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』 

藤宮周の住むマンションの隣には、学校で一番の美少女・椎名真昼が住んでいる。特に関わり合いのなかった二人だが、雨の中ずぶ濡れになった彼女に傘を貸したことから、不思議な交流が始まった。
自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて、食事をつくり、部屋を掃除し、なにかと世話を焼く真昼。
家族の繋がりに飢え、次第に心を開いて甘えるようになる真昼と、彼女からの好意に自信を持ちきれない周。素直でないながらも二人は少しずつ距離を縮めていく……
「小説家になろう」で絶大な支持を集める、素っ気なくも可愛い隣人との甘く焦れったい恋の物語。

出典:Amazon

なろう系以外

ここはほんとうにわからないので、各新人賞の受賞作品をチェックしてみてください。逆に言えば、これまでとあまり変化はないと思います。

まとめ

自分にも今後ライトノベル界隈がどうなっていくのかわかりません。

ただ、大作が出てくる土壌になるのは歓迎していますし、なろう系のよい作品に光が当たるようになるのも嬉しいです。

ここから3年ほどをしっかりチェックしていきたいと思います。