一次通過が難しい投稿作とは?(ライトノベル編)

2019年12月17日小説投稿と通過

「一次選考を通過できないのはなぜ?」で雑感を書きました。

見た目はちゃんと小説(っぽい)のに、一次選考を通らないだろうなと思う作品があるという話です。その続き(ライトノベル版)になります

はじめに

投稿サイトを見ていると、小説の体をなしていない作品というのは減っているように思います。また、多くの作家志望者さんが「やってはいけないこと」を理解しているはずです。つまり、いままでに言われていたような……

・応募規定が守られていない。
・そもそも文章が読めない。
・作品が完結していない。

などなど、いわるゆ小説以前の問題って減っているのではないかと思います。

いや、昔はひどかったんですよ!(出版業界の中の人ではないので実情は知りませんが、中・高校生のときに、ケータイ小説とモバイルサイトが流行っていまして……)。それを考えると、昔はたしかに小説以前の作品も多かったのだろうと思えるのです。

でも、いまはたぶん違うと思うんですね。
ここに来られている方は、だいたい応募要項をちゃんと読んで、自分なりにしっかり書けたという作品を応募されているのだと思います。それでも通過しないから悩んでいるのでは?

ということで、読者目線から「このへんは落ちるんじゃないかな?」と思う点をピックアップしていきます。

なぜ一次を通らないのか?

「はじめに」でも書いたとおり、管理人は一次落ち作品を読んでも「普通に小説らしいもの」がけっこうあるのではないかと考えています。実際、管理人が知り合いに頼まれて下読みっぽいことをしても、ちゃんとまとまっているし、話は完結しているし、文章も読みやすい作品のほうが多いんです。

ついでに言えば、(現代を舞台にしたラノベに関して)日本のシステム上「これはありえない」という設定があったとしても、一次、二次を通っている作品さえありました。

破たんはないほうがいいと思いますが、多少の破たんがあったとしても通過してしまいます。ならば、なぜ「ちゃんと書かれている」作品が通らないのか!

しかも、綺麗にまとまった作品を書ける人って、わりと文章が読みやすいんですよね(というか、むしろ文章うまい気が)。それでも、落ちてしまうんです。

こういう作品は、だいたい次の2つに分類されます。

・単純におもしろくない!
・読んだことある感じがする!

個人的には、この2つがダントツに多いと思います。

これに、「本人が気づけない問題」を加えた3点から、個人的な雑感を書いていきたいと思います。

ちなみに、ことライトノベル系新人賞では「読んだことある感じがする」作品で通過するのはかなり厳しいと思います。そして、この手の作品はwebではわりと評価されてしまうことがあり、投稿者が「??」となる部分じゃないかと思います。

※言いたい放題に書いていますが、お怒りはご容赦を。小説を書くたいへんさはわかっているつもりですが、基本、読み専門なので。読者目線で言いたい放題言わせてください。おもしろい本が読みたいんです。

本人が気づけない問題

個人的には、一番まずいと思っています。そして、これにはまっている作家さんって多いんです。

文章の問題

・描写が下手なので、状況を推測しなくてはならない。
・描写が少なすぎて、状況がわからない。
・誰の台詞なのかわからない。
・マイ設定が多すぎて、造語が多すぎて、読者置いてけぼり(要は、設定の説明が下手)。

たぶん、少年系ラノベに多いと思います。少女系ラノベや、ライト文芸ジャンルではほとんど見ない気が。

まず、描写が下手な作品は、「この台詞は誰のもので、今なにが起こっているのか」を読者が推測しながら読まなければなりません。ようは、作品世界に没頭しにくくなるのです。描写というのは、人物描写、風景描写、状況描写、設定描写(設定の説明)などがありますが、どれも大切です。描写がしっかりしていれば、キャラクターが掴みやすいですし、「誰の台詞だろう?」と迷うこともなくなります。

地の文が多いと読者がついてこないと仰る作者さんもいるのですが、長々書いてほしいわけではないんです。シンプルで的確な描写が必要なんです!

また、ときに長々とした状況、設定描写を書かれる作者さんもいらっしゃいます。凝った世界観はいいんですが、凝り過ぎると作品に入りにくくなります。設定に凝ったときほど、その設定や世界観が相手に伝わるか気をつけましょう。設定集になっていると、読者は置いて行かれます。

一定数いると思いますが、「作者本人は状況(設定)がわかっている」ので、自分で気づくことは難しいと思います。ただ、ネットに上がっている作品や、知人から頼まれた作品で、この手の問題があることは少ないため、わりと少数なんじゃないかなと思います。

世界観の問題

・作者だけが楽しい世界観(複雑すぎます)。
・見たことある世界観(真似たらダメです)。
・世界観を熱く語るのはやめましょう。
・世界観(設定)を後出しするのはやめて。

世界観に凝る人が一定数いて、それはいいことなんですが……。あんまり複雑すぎると伝わりません。いや、うまく伝えられるのであれば、どんなに複雑でも構わないんです!!(むしろ大好き)
問題は、作者本人は理解しているのに、読者に伝わっていないことがあります。人に見てもらうというのは大事だと思いますよ!

また、世界の秘密を隠して、ひたすら隠して「やっと出た!」と思ったらしょぼかったらガックリします。後付けで新設定がじゃんじゃん出てくるというのも、なんでもありでつまらないです。これも本人が気づいていないんじゃないかと。作者は「ドヤッ」と出してくるわけなので、それ全然「ドヤッ」じゃないとは言いにくいんですよね。はまるとマジで「ドヤッ」なので、そういう作品を期待はしているのですが!

ストーリーの問題

・世界観を使えていない。
・ご都合主義にすぎる。
・時系列が複雑すぎる。

せっかく作った世界観ですが、ストーリーと絡み合わなければ意味がありません。また、後出し設定はよほどうまく出さないと作品をつまらなくします。そして、後出し設定が多いと、だいたい「ご都合主義」と言われがちです。

また、時系列が複雑すぎる作品は、よっぽどの筆力がなければ「わかりやすく」書けません。ライトノベルの一次では「分かりやすさ」も重要な要素と考えます(メインターゲットが中・高校生ですよ!)。

最初の掴みが大事と考えて、エピローグからはじめたり、カットバックを多用したりしているなら、やめた方が無難です。とくにカットバックが入ると、わかりにくく感じることが多いです。webだと、エピソードごとにページが変わり、注意書きで「過去に戻ります」とか書けるので、時系列が複雑でも問題ないんですけどね。

単純におもしろくない!

ご都合主義的

「ご都合主義」なストーリーはある程度有りだと思っていますが、バランスが大事です。個人的には「良いご都合主義」と「悪いご都合主義」があると考えています(人によって線引きが違うと思います!)。

新人賞でマイナスではないかと感じるご都合主義をリスト化してみます。

・後出しで設定が増えていく(多少ならいいんですが)
・重要なキャラクタがラストで突然出てきた!(誰それ?)
・主人公がチート過ぎる!(チートがダメというより、チートで片付くのがダメ)
・女の子にモテるだけ!(ハーレムはOK! でもただのハーレムは嫌)

後出し設定とか、キャラクタの問題はさておき、「チート」と「ハーレム」に関してはなにがダメなんだ!といわれそうです。ダメな「チート」と「ハーレム」を私はこう考えています。

「チート」

気が付いたらチートでしたという主人公も多いです。ダメとはいいませんが、「チートゆえの苦悩(や苦労)」がないとおもしろくないです。チートでなんでも解決!は「なろうさん」によくあるので、そちらにお任せしましょう。

たとえば、誰でも知っている「ソードアートオンライン」のキリトは、確かにチートです。ですが、チートゆえに、苦しみ、悩んでいます。そして、チート(強い)ゆえに身を削ります。そういうところを見ると、主人公が人間らしく見えてくるのです。もし、キリト君が「俺はチートだ、クリアできるの俺以外にない!!(アハハ)」というキャラだったら、おもしろくなかったと思うんですよね。ただのアホなチートくんが悪いとはいいませんが、チートゆえの何かを描きましょう。

「ハーレム」

主人公(チート持ちでもいいから)を魅力的に書いてください。
キリトのような「弱さ」や「苦悩」のあるキャラクターならば、ハーレムも許されるのです。ですが、魅力のないキャラがハーレムでちやほやされていても、おもしろいとは思えません。というより、「夢小説かっ!」と突っ込みたくなります。

ストーリー展開がつまらない。

・平坦過ぎる(山場がない、または小さな山場が繰り返される)。
・想定内(驚きがない)。

ときどき、作家志望者さんが「適当に書いたほうが上いって、本命が落ちたー」と呟いているのを拝見するのですが、個人的には「適当に書いたからだよー」と思っています。

適当に書くということは、メリットもあるんです。
1アイディアで、「これいけんじゃね?」と思って書き出したとします。勢いで書いているので読者はストーリー展開がよめません。そして、ストーリー展開を練る余裕がないので、「すっきりわかりやすい」展開になってしまいます。すると、「荒いなぁ」とは思っても、「このアイディア面白いな」「(展開の1つか2つが)ふむふむそう来たか! 予想外!」となれば、一次や二次が通っても不思議ではないと思うんです。

逆に自信のある本命作品だと。
練りに練ったアイディアで、丁寧に作品を書きます。そのため、「読者の予想できる」展開で、「設定が複雑」になりがちです。書いた本人は満足でしょうが、ライトノベルを読みなれた読者にとってはすべて想定内で、平坦な物語になる可能性があります。そして、設定が複雑になるということは、作品を一言で説明(コピー)することが難しくなります。

個人的には、よくあるネタ(おそらく作者本人はそう思っていない)で、手堅くまとまった作品というのが、「うまいけれど面白くない(一次を通りにくい)」作品じゃないかと思います。

キャラクターに魅力がない!

・いい人ばかり!(悪役にこそ魅力を!)
・主人公が薄い!
・ヒロインが薄い!

説明する必要もないくらい、キャラクターって大事です。そして、キャラが良ければだいたいストーリーもどうにかなってくる気がします。

ただ、キャラクター自体はとてもよいのに、描写が下手だと伝わりません。描写は足りているか、印象的なシーンが書けているか、台詞回しは上手くいっているか、よく確認しましょう!

先が読めないのと、先を読ませないのは違う。

読者を驚かそうとしているのでしょう! ときに、ストーリーラインさえも隠してしまう読者がいます。先が読めないほうがおもしろかろうと、メインストーリーを隠してしまうのです。そのくせ、思わせぶりなことだけは書くから、読者のフラストレーションが溜まります。どちらかといえば、少女系ラノベに多い印象です。

ストーリーラインが読めなければ、読者の興味を惹きつけてはおけません! ある程度、読者に物語を読ませてください。

先が読めない展開というのは、「読者がストーリーを読んだ上でいくつものラインが想定できて絞れない」か「ストーリーを読んだ上で、誰がヒットするのかわからない(ミステリにおける次の犠牲者とか、恋愛小説の誰とくっつくかなど)」などをいいます。先の展開がまったく読めないものは面白くないのです。先の展開を読ませた上で、想像しなかったところへ連れて行くのが、最高傑作の「先が読めない展開」であって、最初からストーリーラインを読ませない作品は飽きられやすいです。

読んだことある感じがする

先行作品があるケース

・ストーリーに既視感がある。
・見たことのある設定!
・見たことのあるキャラクタ!

似ている作品は通りにくいのは当然です。個人的には86が受賞の前年度に1次落ちした理由は、「似ていたから」だと思います。あのレベルで一次落ちとか、それ以外に理解不能ですから(※個人の感想です)。

だったら「なろう」をどう説明する!?

と言われそうなんですが、ようは「よくある設定、ストーリーは、なろうがあるから必要なくない?」となると思うんですよ。

「なろう」の売れ筋のコピー的作品は大量にありますが、「柳の下にどじょうは何匹もいる!」わけで、売れ筋と似た作品は売れるんです。わかっているんです。

たとえば、キャラ文芸で「妖怪」が流行れば、大量の妖怪小説が出てくる。戦略的には正しいのです。だったら、新人賞もそうすればいいじゃないか!と思うかもしれません。

しかし、新人賞って、応募→受賞→出版まで1年くらいかかるんですよね。だったら、お抱えの新人作家に「これ売れ線だよー」と書かせたほうが早いと思いませんか?(私が編集者ならそうする)
web投稿サイトをあさって、似たような作品に書籍化を持ちかけたほうが早いと思いませんか?(しかも、一巻分だけでなく、続刊可能な長編が手に入る。ダメなら一巻打ち切りでいい。おいしすぎる)

新人賞でそういう作品を引っ張り上げる意味がないんです。

そのため、「ほかにない」、そして「売れそう」な作品を新人賞では探すのだと思います。

まとめ

好きな作品に影響されていませんか? ○○みたいなキャラクタにしたいと思って書いていませんか? やめましょう。むしろ、いままで見たことのないようなネタを出して、その中で売れそうなものを書きましょう。

いままで見たことのないようなネタが出せないならば、ひねりましょう!
「チート」が「無双」する話を書きたい。普通に書いたらたぶんダメです。ならば、「持ってしまったチートゆえに苦しむ主人公」にしたらいかがでしょう? もしくは、『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』くらい、おどろくようなキャラクタにチートを持たせて無双させましょう。お母さんだから許されるんです。もし、主人公が通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃だったら面白くないですから(たぶん)。

このように、なんらかのひねりや特徴を持たせれば、きっとおもしろいネタになります。

まずは「普通」から脱却することが大切だと思います。

落ちた作品が、わりとなろうでいい線いったり、作品としてはうまく完結していたりすると、「なぜ!?」となるのもわかります。簡単にいえば、「うまくまとまっているだけの作品」は求められていないんです。そして「うまくまとまっていて面白いだけ」なら、web投稿サイトから探したり、新人さんに書かせることさえできるんです。

通過したければ、「見たこともないネタで目立つこと」が大事だと思います。ただ、そういうものは(たぶん)少ないので、とくに「新しいネタ」でなくとも、総合力が高いと一次や二次くらいはするする通過しちゃうことも多いんじゃないかなぁと思います。