一次選考で落選するケースの考察(ライトノベル・キャラ文芸)

小説投稿と通過

3月、4月にかけて、大手のラノベ、ライト文芸(キャラ文芸)の公募新人賞が続けざまに発表になりました! 今回は、一次落選作、または一次通過作品(二次落ち)についてちょっと考えたことをまとめてみたいと思います。

小説の体をなしていれば一次は通るというけれど?

小説の体をなしていても落ちることは多々あります。正直、これで一次通らないって……と思う作品を拝見したことは何度もあります。逆に、これで一次通るんかい……と思うほど、文章がひどかったり、世界設定に穴があるケースも見かけました。

選考基準に困惑している方、怒りを覚えている方、たぶんいらっしゃると思うんですよね。気持ちはわかります。とくに長編の賞だと心が折れますよね。ですが、下読みさんのせいにしても仕方がないです。もうすこし自作と向き合ってみませんか?

小説の体をなしているの前提

『小説の体』とは……

  1. 応募規定を満たしている。
  2. 応募した賞が必要としている文章レベル。
  3. 物語が完結していること。

過去に同じ賞で選考通過した場合、「ちゃんとできているはず」と思ってしまうのも無理はありません。

Webの情報ですが、出版に関わる方が矛盾する話を上げています。「大半が小説の体をなしていないために一次で落ちている」、逆に、「いまどきは小説の体をなしていても落ちることはよくある」と。

正直、小説の体にこだわるのは無意味だというのが個人的な感想です。

そもそも、下読みさんの考える「小説の体」に違いがあるんだと思います。たとえば、文章よりもストーリー重視の人もいるでしょう。文章一つとっても、多少酷くても読めればいいと考える人もいるだろうし、酷い文章が受け付けない方もいらっしゃるかも。

上の1~3は新人賞に出すなら「最低限」のレベルと考えたほうがいいんじゃないかと。つまり、最低限の作法ができた上で、どうやって上にいくかを考えたほうがいいと思います。

高いレベルの小説の体というなら、たぶん最終通過作品でもできてないものあるんじゃないかなと。

最低限の形ができていると仮定して

一次が通過できないという方の場合

だいたい、次のケースが多いです。

アイディアは悪くないけれど、構成(やストーリー)がマズイ

単純にアイディアを活かしきれていません。次のような点が目につきます。というかマジ勿体ないなと思う作家さんたちです。

①後半に行くにしたがって、話がよくわからなくなる
②カットバックの手法が活かされていないどころか、読者を混乱させている
③ラストに向けて盛り上がりがない
④ラストのネタバレがしょぼい
⑤中盤があまりにも退屈
⑥全体的に矛盾が多い

あらすじにするとおもしろそうなんだけどな……という作品、結構あります。①、②は単純に作者の筆力が足りていないし、③、④はラストがしょぼくてがっかりなケースです。⑤はリーダビリティが持続しない作品で、だいたいこれにはまる場合は③や④もダメってことが多いです。⑥の矛盾はかなり多いですよ。でも、おそらく作家さん本人は気づいていないんだと思うんですよね……。二、三ヶ月置いて推敲すると、矛盾点に気づいたりしませんか? よく推敲しましょう。

何番煎じのネタですか?

流行りのねたを入れるのは構いません。が、同じような作品は多くくるため、一次通過はしにくくなると思ってください。プラスαの新しさを入れてみましょう。

本人はオリジナリティがあると思っているケースもあります。異世界転移・転成じゃない、スローライフじゃない、悪役令嬢や追放でもないし、幸せな花嫁でもないし、あやかしでも後宮でもないので「オリジナリティがある!」と思い込んでいる方……。世の中にはそれら以外にもたくさん本がでているんです。売れ線を外した=オリジナリティがあるではありません。

オリジナリティという名の自己満足

作家本人だけが「新しい!」と思い込んでいるケースと、オリジナリティはあるが読者が求めていないケースがあります。前者に関しては「何番煎じのネタですか?」をご覧下さい。問題は後者。

「……誰が読むの、それ?」って作品がときどきあります。

とはいえ、矛盾がなく、リーダビリティのある作品であれば、カテエラで落とされることはあるかもしれませんが、おそらくどこかが通過させてくれると思いますよ。

ただ、多くの作者の場合、オリジナリティや自分の趣味嗜好にこだわるあまり、読者を楽しませる書き方がされていません。「わからない読者が悪い」ではなく、「読者にわかるように、読者が楽しめるように」書きましょう。

あと、コンプライアンス的に(または現代社会では)ちょっとそれは……って内容を出してらっしゃる作家さん。以前に比べて色々厳しくなってきていますよ。

何度も選考通過している方の場合

何度も通過していると「小説の体はなしているはず」という自信があるかと思います。とくに高次選考に残ったり、書籍化作家さんだと、一次で落ちると「カテエラ?」、「下読みガチャ?」と思ってしまうんじゃないかなと。確かに、それらを否定ではきないんですが、個人的には次のどれかを感じるケースが多いです。

目新しさがない

Webに落選作を掲載している、またはWeb公開→公募という方が増えたおかげで、同じ作家さんの複数の作品を読むことができるようになりました。さすがに高次選考に残るような方や、書籍化作家さんだと、普通に読めてしまいます。何故、これ落ちたん……?となるのも分かるんです。

が、とくになにも残らないというケースがわりに多いです。既視感のあるネタ・作風、ラストの盛り上がりに欠ける作品というか……。やはり他者より目立つ何かが必要なんじゃないかなと思います。

想定内の場所に着地する

最終を含む高次選考に何度も残っている方の作品では、この欠点がすごく目立つ気がします。読みやすいんですよ。文章だけでなくて、作者の狙いも……。想定したレベルに収まってしまうケースが多いです。

それなりに山も谷もある作品だと、作者として「ちゃんと書けている!」「こんなにおもしろいのに!」と思われるのも仕方がない。ないけど、あまりに収まりがよすぎると面白くないんですよね。

自力はあるのだし、構成力もあるため、レベル自体は高いんですけど……読みたいと思う作風じゃないんですよね。

個人的には、少女系のラノベ、キャラ文芸系で多い気がしています。

まあ、少女向けだと、お約束を守るとそうなってしまうのも仕方がないんですが。もう一歩、なにか突き抜けたものがあると一気に注目されるんじゃないかなと思わなくもない。

個人的にこれはないと思うものをリストアップ

小説の体以前の問題じゃないかな……と(私が)思ったものをリストアップしてみます。

飛び道具の使いすぎ

どういっていいのか分かりませんが、反則技が大量に使われているケースです。意外に多いんじゃないかな。昔のライトノベルや、Web小説ではよく使われていますが、公募でこれらを使う場合はご注意を。

「影」を使いすぎ

たとえば、王族が主人公で、周囲にチーター的な「影」を持っているケース、ありますよね? 情報収集はすべて影がして、呼んだらすぐ顔を出します。それなのに、ピンチの場面では急に影がいなくなって(間に合わなくて)、主人公が活躍する。都合よく使いすぎですよ。

うまく使う場合は問題ないでしょうが、読者は「主人公達がどうやって問題を乗り越えるのか」に面白さを感じます。影が情報を持ってくるだけでは、面白くないんです。

あげく、影が持ってきた情報を意図的に隠すような場合は、読者にストレスを与えます。影が耳打ちして、主人公が「ああ、あの人が……。分かった。下がっていい」とかいった場合、読者はものすごいストレスを抱えながら読むため、これで内容がしょぼかったら、たぶん切れますよ。

「影」ではないけれど、これも一種の「影」

現代版だと、主人公が警察と仲良しで、捜査しなくても次から次に情報が入ってくるようなケース。キャラ文芸で、ガチ本格ならばOKかなとも思います。しかし、青春メインの小説なんかで警察がベラベラ情報を喋ってくれるような作品は、さすがにちょっと……となりますよ。

同じく、権力とお金を使って問題が解決する作品。困ったら権力、力の代わりにお金……。ネタなら面白いかもしれませんが、これも「影」と同レベルだと思っています。既存作品にもあるので「いいじゃん」と思われるかもしれませんが、あまりに度を超した使い方をすると、ちょっと……と感じてしまうんですよね。

いくらなんでもな敵設定

ざまぁが流行っているせいかなと思うんですが、敵の能力値があまりにも低すぎる件。

たとえば、悪役令嬢で「注意されただけでいじめられた」とか、「自分で転んだのに突き落とされたという」といった敵が出てきますよね。悪役令嬢はそこまでを楽しむものなので問題ないんですが、この手の残念すぎる敵というのはラストで盛り上がりにかけてしまう気がします。

ネタとして楽しむケースを除けば、敵は魅力的なほうがよいと思われます。

いくらなんでもな主人公設定

主人公に属性盛りすぎじゃないか?というケースが増えているように思います。

・チーター
・イケメンor美女
・性格がいい(まるで天使)
・家族に虐げられたけれど、成り上がる(または見初められる)
・じつは……(ほぼチーター設定)だった設定がある

フルスペックでのぞまれると「おおっと」となります。Web小説ではウケがよさそうですが、公募ではちょっと盛りすぎな気がしています。ちょっとした欠点があったほうが人間味があるし、共感も増すんじゃないかと。

ストーリーに無理がある、または中途半端

これも結構多い気がします。そもそも、なにが書きたいのかよく分からない作品があります。本人はノリノリで書いているっぽいんですが、読者置いてけぼりってこと実際あるんですよ。

たとえば、全国大会を目指す駅伝部の話を書くとします。応援してくれるマネージャーとの恋愛がサブテーマです。ところがマネージャーとの関係に主眼が置かれているため、全国大会出場が決まって「……ヨカッタネー」としか言いようがないケース。

駅伝部といえば、チームで走るわけです。仲間との友情があり、ライバルとの切磋琢磨があり、そこに恋愛を絡めるならよいんですが。恋愛をメインで書きたかったら、全国大会をサブテーマにした筋というものがあるはずです。

メインがぶれた作品というのは、中盤で中だるみするし、ラストのカタルシスがないので、かなり評価が下がると思います。

キャラクターが固まっていない

キャラクターの性格が二転三転するとか、キャラクターのかき分けができていないケース。キャラクターにはまって読めないです。ラノベ、ライト文芸(キャラ文芸)ではキャラクターが重要です。読者がはまるキャラクターを作り上げてください。

まとめ

ここ二ヶ月くらい、Webの落選作を読んでいて気になった点をまとめてみました。毎度毎度、「どっから目線だよっ(怒)」といわれそうな感想で申しわけないんですが……。

ちょっと自分の作品を読み返してみられてはいかがですか?