一次落ち→上位・最終進出は本当にあるのか?

小説投稿と通過

自分の知る限りのことを書いてみたいと思います。ただ、教えてくれた人に迷惑がかかるといけないので、賞の名称やジャンルはぼかしています。詳細はご容赦ください。

実際に見た(リア友の話)とか、友人・知人から聞いた話で、確証のあるものです。具体的には、学生時代からのモノカキグループやSNSでの繋がりによるものです。

賞の名称やジャンルをぼかしたいので、下のような区分で話を進めていきたいと思います。

ライトノベル 「少年系・少女系ラノベ、ライト文芸、キャラ文芸」
一般エンタメ 「エンタメ小説、ミステリー、ファンタジー、SFなど」
純文学 「純文学」

一次落ち→上位進出は本当にあるのか?

あります。ちなみに、一次通過→上位進出も聞いたことがあります。

ぶっちゃけると、又聞きまで含めたらこの手の話はそんなに珍しくもないです。ライトノベルでも、一般エンタメでも多数話を聞いています。大幅改稿しているものはさておき、それほど大きな改稿をしていないケースも複数知っています。

さて、その中でも私が直接書き手から情報を得て、さらに作品の詳細を知っているものに絞ると、4作品あります。うち1つは受賞し、2つは最終選考まで到達。具体的には次のような感じです(かなり昔の情報も入っているため、立て続けにこれだけあったというわけではないです。またwebの賞も含みます)。

一般エンタメ(?)一次落ち→ライトノベル受賞(落ちたところの詳細を聞いてなかった。ストーリー的な改稿は少なめ)
ライトノベル一次落ち→一般エンタメ最終(改稿はほとんどなし)
ライトノベル一次落ち(通過だったかも)→同系統のライトノベル最終(改稿あり)
ライトノベル一次落ち→別系統のライトノベル最終手前(改稿はほとんどなし)

純文学はあまり聞きません。短編~中編が多いせいか、使い回しをする人も(自分の周りは)少ない印象です。以下、自分の知っている範囲ではという限定付きですが……。
・使い回す人もいますが、なぜかあまり結果が変わらないです
・通る人は作品変えても一次は通る率が高いです(エンタメだとけっこう上位通過と一次落ちが混在している人もいる)。
・上位、最終に行ける人が別ジャンルを書くと、一次落ちしたりする。

一次落ち=箸棒作品とはいえない

だから正直、(一部の)下読みの方々がどれだけ、

・一次落ちは誰が読んでもダメ
・下読みは応募者の味方

といっても、読み落としている人がいるじゃないかと思います。さらに、

・そうはいっても、最終で落ちたんでしょう?

というなら、一次落ち→受賞作さえあるじゃないですかとしかいいようがないです。

「実力がある人は書き続けていれば作家になれる」と彼らはおっしゃいますが、選考に落ちたことで区切りをつけて「筆を折った書き手」を自分は何人も知っています。

「最終に残る=出版社が本にしてもいいと考えた」だとすれば、下読みの方々がどう言っても「そのレベルの作品が一次であっさり落ちることはある」と考えます。

一次落ちだから=箸棒というわけではないと思います。

そうはいっても落ちたときは反省しよう

自分の傑作を落とすなんて!と思うのはわかりますが、「なにが悪かったか」をよく考えましょう。

投稿前、投稿後に作品の感想を求められることがよくあるのですが(最近は、自分の周りも筆を折ったりどんどんオンライン投稿サイトに流れていて、そういうこともほとんどなくなりましたけど)、この作品が○次で落ちるなんて(驚)ということのほうが少ないです。やはり落ちる理由があることがほとんどです。

わりと多いなと思う落選理由は次の通りです。

あまりにもテンプレ通りの作品

すべてが予定調和で進むので、ドキドキわくわく感がありません(結果、途中でリーダビリティを失ってしまいます)。想定通りのストーリー、想定通りのラストといった作品です。場合によっては、想定以下のラストということもあります。こんなオチは嫌だなと思っていたのをドヤ顔で決められたときの脱力感。

力業で主人公に都合良すぎなストーリーにもっていくケース(①)や、テンプレ過ぎる親子愛や恋愛(②)に落としてくるケースはよく見ます。

注)
①いきなり主人公が覚醒する、周囲が主人公を持ち上げ出す、敵役がおバカすぎるなどです。
②「やっぱりお母さんは私を捨てたわけじゃなかった」の着地とか、「実は小さい頃に会っていたけど自分は忘れていた→思い出してラブラブ」というような、使い古された落としを指します。

それが悪いとはいいませんが、予定調和の物語でラストにこれを突っ込まれるとカタルシスを感じません。結果、まとまっていると思うし、それなりに面白いけど、買ってまで読まないだろうなと判断してしまいます。

このネタは売れないだろうなと思う作品

とはいえ、そういうネタを好む賞があるのも事実です。たまたま出版社が欲しがっている場合は、あれよあれよという間に選考を通過すると思います。

ただ、それは稀なケースだと思います。ご本人は尖っていると自信満々で、とくにエンタメやライトノベルに多いのが……

・だれが読むの?(^_^;)というあまりにもニッチなネタ(「ニッチはそれなりに売れる」と考えている方は多いですし、私もその部分には賛同します。ただ、あなたが思っているよりもニッチが過ぎるんですよってケースはね……。)
・新しいし、売れる!と作者が思っているけど、実はそうでもないネタ。すでに先行作品があって売れてないとか、リアルのほうが面白いとか、そもそも小説に向いていないというネタ。
・本人にこだわりがあって、そのネタしか書きたくなくて、たしかに「世界的には売れている!」というネタ。世界中、古典から新しいものまで多数の素晴らしい作品があるため、その市場に割り込むのは至難の業ですよ的なネタです。詳細はご想像ください。ようは当たればデカいのはわかっているけど、売るのが難しいんですよというネタもあります。

前半面白く、後半で失速する……

冒頭からしばらくは面白いんですよ。読み進めると、半分くらいから怠くなってきます。ただ、受賞作や、高次選考に残ったものでも中だるみはよくあるので頑張って乗り越えます。で、ラストで失速されると辛いです。

・いきなりラストで唐突なバトルが始まる。
・いきなりラスト付近で主人公が強くなる。
・いきなりラスト付近で話が飛ぶ。
・次のボスが出てきたところで終わる。
・問題は解決してないのに、大団円っぽく終わる。問題は解決していないのに!
・それまで語られなかった秘密が暴露される。
・登場人物が突然増える(もしくはお亡くなりになる)。

キーワードは、「いきなり」「突然」「終わってない」です。

こういう作品多いので、一次くらいは通過することもあるようです。ただ、その上はあまり聞きません(その上にいく場合、この欠点を打ち消す美点があるのだと思います)。

まとめ

高次・最終先行作品でも、別の賞で落ちていたケースはけっこうあります。

一次落ち=箸棒とか、才能がないと思う必要はありません。ただ、一次落ちが多い場合には、なんらかの大きな欠点があるのだと思います。自分を省みることは大切だと思いますよ。