どの新人賞に応募するべきか! 小説カテゴリー編(改)
「どのジャンルに応募すればいいんだ?」
そう思っている物書きさんは多いのではないかと。
そもそもライト文芸の定義って?
ラノベと一般文芸もだんだん垣根が不鮮明に。
なにをいったところで、「受賞したもの勝ち」なわけで、対策を練ってもしょうがないところはあるのですが、明らかなカテエラを避けるためにも、作品にあった新人賞に出したいですよね。
ということで、独断と偏見による小説カテゴリー分けを行ってみようと思います。
大きく、3つに分けてみます!
「一般」、「ライト文芸(キャラ文芸)」、「ライトノベル」
各新人賞の特徴は、たぶんこれ!
一般向け :だいたいハードカバーで出版。ときどきソフトカバー。多くは四六判
ライト文芸 :表紙がイラストで、文庫、または四六判のソフトカバーで出版
ライトノベル:表紙がイラストで、中にもイラストがあり、文庫で出版
みなさんの作品はどこに属しますか?
それぞれの特徴を詳しくまとめてみました。
一般文芸
読者 |
本が好きな人。ターゲット年齢は広い。他と違って、60代以降も多い! |
登場人物・概要 |
基本は20代以降の大人。 10代が中心となる場合は、社会派小説や大人目線が入る印象。例えば、ネグレクトや少年犯罪などのテーマが入ってくる。青春小説でも、スクールカーストやネット問題など、やはり社会派の視点が入ることは多い。 新しい切り口が必要。 |
人物造形 |
キャラ立ちは求められるが、「こういう人いるよね」から大きく外れない。もちろん例外はある。 キャラクター小説のような登場人物の作品もよく見るが、「ちょっとデフォルメされているけど、こういう人いるかもね」というラインが守られていることが多い。 |
世界観 |
多くは、現代社会、またはそれをベースとした世界観。 もちろん歴史・時代小説は、その時代の社会、またはそれをベースとした世界。ファンタジー・SFは、古今東西の歴史、現代社会をベースとし、その延長上にある世界であることが多い。多少の不思議やSF設定は「小説だから」という理由で受け入れられる。しかし、「とんでもすぎる」設定は受け入れられにくい。受け入れられるケースは、その世界観が「作品で有効に使われていること」または「世界観がしっかりと骨組みされていること」が必須条件となる。たとえば「屍人荘の殺人」ではゾンビが有効に利用されている。「人間の顔は食べづらい」も食肉用にクローン人間を作るが、設定が活用され、なぜ食用クローンを作るかの理由も述べられている。 |
文章力 |
あったほうがいい。なくても受賞する(さらに売れることも判明)。 そうはいっても、受賞作品は一定レベルを超えている。また、出版された場合、文章が下手だと攻撃対象になる。 |
ライト文芸、キャラクター小説
一般よりのライト文芸・キャラ文芸(文庫多し)
読者 |
10代~50代 |
登場人物・概要 |
メインの登場人物は10~20代(ターゲットによっては30代もあり)。 一般文芸とライトノベルの間に位置する。レーベルカラーが強い。個人的には、ライトノベル以上にレーベルカラーが強いと思っている。web小説からの書籍化、一般・または少女向けラノベ作家の書き下ろしも多い。新人賞もオンラインノベルサイトとの結びつきが強い。 「柳の下にドジョウはたくさんいる」的な売り方をしている。とくに女性向けはそうで、簡単にいえば、「あやかし」が流行れば「あやかし小説」がずらっと並ぶし、「嫁・溺愛」が流行れば「嫁・溺愛」ばかりになる。ライトノベル以上にテンプレ化されている印象がある。 レーベルによってターゲット年齢がかなり違う印象がある。女性向けの「料理上手な(好きな)主人公」とか「耐え忍び、家のことをしっかりやる主人公」などは、10~20代ターゲットというより、もっと上の層を狙っていると思われる。 ちなみに、男女ともに10代が好むのは青春小説(スターツやメディアワークスでよく出ている青・光ベースの表紙)。 |
人物造形 |
キャラ立ちが求められる。小説とかドラマだから「こういう人ありだよね!」という人物がよく出てくる。中心人物に「ごく普通で、読者が好感を持てる」人物を配置することも多い。もしくは、等身大のキャラクターを中心に、人物背景や心の交流を描く作品も売れている(ただし、一般よりも「すべてうまく」いかなければならないし、「誤解やすれ違いが読者にわかりやすく」なければならない印象)。 読者がキャラに好感を持つ(ようはハマる)ことが重要。 |
世界観 |
わりとなんでもありだが、近現代が多い印象。多くは現代をベースにファンタジーやSF要素を入れる、または「契約結婚」など一般常識を振り切った世界観。そうでなかったら、上手く行き過ぎなお仕事小説。 また、中華ファンタジーなどどこかの国を下敷きにしたものもあたっている。過去にライトノベルとして売れていた「十二国記」や「風の王国」、「彩雲国物語」のような、しっかりした世界観とストーリーが必要。 SFは、パラレル世界やタイムリープなど、誰もが知っている設定が多い。 新種の奇病や死を扱う作品も多く、「泣ける!」作品として売れている。 |
文章力 |
わかりやすさ、読みやすさが求められる。 |
ライトノベルよりのライト文芸(四六版多し)
読者 |
10代~50代 |
登場人物・概要 |
メインの登場人物は幼児~30代(作品によっては50代、60代でもいける)。 オンラインノベルサイトからの書籍化作品(オーバーロードや、転スラなど、本好きの下剋上)などで一般的になり、遅ればせながら電撃が新文芸を立ち上げた。 |
人物造形 |
ライトノベル的なキャラ立ちが求められるが、主人公は「中身が大人」であることが多い。無双させるなら、チート的な強さではなく、経験に裏打ちさせた知識を使うなどの工夫をしている。 幼児(や児童)が主人公の作品も多い(転生しているため幼児・児童には見えないことが多いが)。 |
世界観 |
異世界、異世界転移・転生など。ゲームやライトノベルによくある世界観でよい。ただし、主人公の立ち位置に工夫が必要。たとえば、主人公が、現代日本の知識(またはアイテム)を使って異世界で活躍するなど。 |
文章力 |
わかりやすさ、読みやすさが求められる。 主人公の口語表現が地の文に入るのもあり(というか、セルフ突っ込みや、状況への突っ込みを読者は好んでいる印象) |
ライトノベル
読者 |
10代~30代。 読者層は広がっているが、やはり10代~20代前半は多い。 |
登場人物・概要 |
10代。中学生・高校生の年代が多い。 いわゆる中二病世代といっても、いいかもしれない。 |
人物造形 |
キャラが立っていればなんでもあり。ただし、読者が「なりたい自分」であったほうがいい。とはいえ、「やる気なし」、「クズ」といったマイナス要素の属性があってもいい。 女性キャラクターは重要。ハーレムを形成しなくても、魅力的なヒロインを出すべき。萌えや癒やしも大事。 また、ぶっとんだ、おもしろいキャラクターもじゃんじゃん出していきたい。 |
世界観 |
これもなんでもあり。お約束でわかりやすい世界観のほうが受け入れられやすい。善と悪の構図がわかりやすいものが多い。一般文芸のような「現代社会をそのまま描いた」作品は、ほとんどない。 ただ、設定の面白さは必須。「ソードアートオンライン」(ゲーム世界に監禁。戦いは命がけ)とか、「デート・ア・ライブ」(世界をすくうのは「精霊とデートして、デレさせる」ことだ!)とか。 ただ、昨今はオンラインノベルサイトからの書籍化作品の流れを受け、いわゆる「なろう」系要素のある作品が受賞することも増えている。 とにかくリーダビリティ優先。ぱっと頭に物語(とその先)が思い浮かばないと読者が離れる。そして、想定着地だと(一部の読者は喜ぶが)、そうでない読者は飽きる。 個人的には、読者の好みが細分化されすぎていて、今一番ヒットを出しにくいジャンルな気がしている。 |
文章力 |
わかりやすさ、読みやすさが求められる。 主人公の口語表現が地の文に入るのもあり(というか、セルフ突っ込みや、状況への突っ込みを読者は好んでいる印象) |
自分の作品はどこに属するのか?
一般とライト文芸のどちらに出すべきか
青春小説、ミステリ小説をはじめ、どちらに出しても構わないです。おそらく。
これまでにも、ライト文芸っぽい作品が一般文芸の新人賞で多数受賞しています。たとえば「日本ホラー大賞佳作」の「ホーンテッドキャンパス」とか、「日本ファンタジーノベル大賞受賞」の「僕僕先生」とか。
ただ、ライト文芸の新人賞がいくつもある今、軽く読めて楽しい作品、またはお約束が守られた作品は「ライト文芸」に。そうでなければ「一般文芸」に。
独断と偏見ですが、チェックポイントを考察してみます。
<年齢>
30後半以上が主要登場人物なら、一般文芸に。
<人物>
主要キャラクターが人外・規格外であればキャラ文芸のほうがベター。あやかし、悪魔、幽霊、不死人が出てきて、彼らの正体が周囲に受け入れられていたり、彼らがものすごい変人だった場合は、キャラ文芸のほうが受け入れられやすいと思われます。さらに人外・規格外に萌え要素があるなら、迷うことなくライト文芸に!
<世界観>
不思議要素があるか、ないかで考えましょう。
不思議な要素がなければ、どちらに出してもいいと思います。「文学」したい人は一般へ。「楽しく、かわいい」小説が書きたいならライト文芸へ。
不思議要素があるなら、どこに力点を置くかが重要。キャラ文芸はおもしろけばなんでもあり。一般は頭の固い読者が納得できなければだめ。一般で「あやかし」を出すのなら、あやかしがいかにして人間と共存してきたかとか、あやかし社会の背景とか、現実世界に「さもあやかしがいそう」な設定が必要かもしれません。
ライトノベルとライト文芸のどちらに出すべきか
とりあえず、主要キャラクターの年齢で考えましょう。
次に、キャラクターの属性を見て、決めればいいと思います。
現代を舞台にした青春小説はちょっと難しいです。レーベルが判断を下す「電撃大賞」だと、考えずに出せますね。応募総数がハンパないですけど。
<年齢>
10代半ばならライトノベル、大学生~20代より上ならライト文芸。
<人物>
典型的なキャラクター(中二病、熱血、落ちこぼれのチート、人の好い無双等)であればライトノベルに。一癖ある大人キャラクター(社畜経験、悪を選択、ごはんや知識のチート、等)ならライト文芸(四六判)へ。
青春小説系は、萌えが強ければライトノベル。弱ければライト文芸(文庫)へ。